(前回の続き)
病気や症状の改善にせよ、
自分自身がよい意味で変わるということにせよ、
環境要因、つまり日常での様々なつながりを
抜きにしては決してうまくいかないということを
前回はお話しました。

これはとても重要なことです。
なぜならば、人が変わるのは
医者や療法家による治療的かかわりや
セラピストのアドバイスではなく、
結局は日常生活の中で、
自分が何をするかにかかっているということを
意味しているからです。

ただ、こんな言い方をすると、
結局は他力本願ではダメで、
自分自身が頑張るしかないと、
聞こえてしまうかもしれませんが、
そういう意味ではないのです。

もしも医者やセラピストの
かかわりやアドバイスにより、
その人がやる気を起こし、
解決のための具体的な行動を
するようになったならば、
それは十分に意味のあることです。

もちろん、問題を抱えている人が、
自分で気づき、自分でやる気を出し、
自分で解決のための行動を取れるのであれば、
それに越したことはありません。

しかし、多くの場合、
悩みを抱えた人は視野が極端に狭くなり、
思考は同じところをグルグルまわるだけで、
いつまでたっても
悩みの渦から出てこられないのが普通です。

だからこそ、
そこから脱出するためのきっかけが
必要なのであり、
上手なセラピストは、
それをさりげなく提供してくれるのです。

その際のポイントは四つあります。
①思い込みが緩むこと
②進むべき方向性が見えること
③できそうなことから行動すること
④日常の環境要因をうまく利用すること

上記のことを意識しながら、
その人にフィットしたやり方で、
問題解決のための対処行動を
うまく見つけることができたならば、
人は自ずと動き出し、自ずと変わり、
自ずと解決へと至るのです。

上手なセラピストは、
クライエントと一緒に
それを探しだすことができますし、
独力で変われる人も、
このような視点を念頭に置きつつ、
考え、行動しています。

また、その原動力となるのが
「心の治癒力」であり、
様々なスイッチやきっかけを利用して、
いかにしてそれを引きだすかが
ポイントとなります。

実は私としては、
誰もがこのような視点を持って
自らの力で問題解決に向かって
行動できる人になってもらいたいと思っています。

そのためには、
四つのポイントを意識しつつ、
小さな問題に対処し、
それを乗り越えていく経験を通して
無意識レベルに様々な情報を
積み上げていくことが大切になります。

もちろん、それと同時に
自らも勉強することで
問題解決のための考え方や対処法のヒントを
学んでいく必要もあります。

そのような過程を経ることで
「心の治癒力」は次第にその力を増していきます。

それからもう一つ重要な視点があります。
それは、人の悩みや問題は多種多様であり、
それらを一緒くたに語ることは
できないと言うことです。

例えば、
ダイエットなどの生活習慣の問題と
感情が絡む人間関係の問題、
売り上げアップといった一般的な問題とでは
問題の性格が全く違うため、
解決のための対処法もすべて異なります。

感情や欲求があまり関与しない
一般的な問題は、
客観的な視点から物事を考えられるため、
まだ解決はしやすい方だと思います。

ところが、生活習慣などの問題は、
自分の欲求や意欲が関与するため、
それらをうまくコントロールするための
工夫が必要になってきます。

最も難しいのは人間関係の問題です。
職場でも家庭でも、
時には退職や離婚という形での解決法を
取らざるをえないことも多々あることからも、
その難しさは理解できると思います。

そうならないためには
どうしたらよいのかというと、
最終的にはいかにして
相手に対する思いや感情を
うまくコントロールできるようになれるかが
ポイントであり、
そのための様々な工夫が必要になってきます。

生活習慣と人間関係の問題は
自分の感情や欲求が絡む点では同じですが、
相手との利害が存在する
人間関係の問題の方が、
よりコントロールが難しいと言えます。

特に、相手とのつながりが強ければ強い程、
自分をコントロールすることは難しくなります。

そのことは、
社会では人格者のように思われている人でも
家庭内ではうまくいっていないことが
しばしばあることからも伺えます。

いずれにせよ、
「心の治癒力」を高めるためには、
問題や状況に応じて
様々な工夫が必要になります。

また、適切な対処ができるようになるためには
多くの知識や経験が必要であり、
ときには第三者からの
援助やアドバイスも有効です。

その結果として、
自分自身のものの見方や考え方が広がり、
感情や欲求をコントロールできるようになり、
問題解決やストレス対処のための様々な方法を
身につけることができるようになるのです。

私は「心の治癒力」を通して、
そんなことを一人でも多くの人に知ってもらい
学んでもらいたいと思っています。
(次回は最終回です)