ブログ:「心の治癒力」物語⑤~代替療法への疑問

(前回の続き)
心理療法のテクニックよりも
安心感や信頼感の方が
治療効果に及ぼす影響が大きいという事実を知り、
とても衝撃を受けましたが、
それと同時に、私の視点を
大きく変えてくれることにもなりました。

もちろん様々な心理療法のテクニックは
必要に応じて取り入れていましたが、
テクニックそのもので治すという意識は
かなり薄くなっていきました。

その代わり、
患者さんの信頼感や安心感、期待感を
うまく引き出すようなかかわりを
心がけるようになりました。

それは、無理に患者さんの思いを
変えようとしなくても、
安心感や信頼感、期待感、
希望、可能性を持ってもらえるような
かかわりさえしていれば、
自ずと患者さんは変わってくると
思えるようになってきたからです。

もちろん、そこにも
様々なテクニックがあるのですが、
思い込みや行動をダイナミックに
変えるようなテクニックよりも
ずっと柔らかく穏やかなものばかりです。
それで十分なのです。

今思い返してみると、
私にはテクニックばかりに
走っていた時期がありました。

特にそれが強かったのが、
初めての本「人は自分を癒す力を持っている」
(ダイヤモンド社、絶版)を出した頃です。

自分のテクニックにうぬぼれていたこともあり、
患者さんの安心感や信頼感ということに
あまり意識が向いていない時期でもありました。

すると不思議なことに(?)、
今まであれほどうまくいっていた治療も
なぜかうまくいかなくなってしまったのです。

何で自分はこんなに心理療法が
下手になってしまったのだろうとかと
真剣に悩んだこともありました。

1年ほどたったある時、
自分がテクニック中心で
患者さんを治療していたことに気づいたのです。

それからは、
あまりテクニックに走らなくなった分、
患者さんに安心感や信頼感を
持ってもらえるようなかかわりを中心に
治療をするようになりました。

すると患者さんの症状も、
再び改善するようになってきたのです。

その頃から、テクニックよりも
医者患者関係による安心感や信頼感を
意識するようになっていった気がします。

そんな折、以前からくすぶっていた
ある疑問が突然解けたのです。
それは、「代替療法はなぜ効くのか」
という疑問でした。

代替(だいたい)療法とは、
西洋医学以外の治療法全般のことで、
整体や鍼灸、アロマセラピー、
サプリメントといった
比較的ポピュラーなものから、
ヒーリングなどのやや眉唾のものまで
何でもありの世界です。

私の疑問は、
そんなものが効くわけがないと思う治療法でも、
なぜか効いてしまう人や
ときには奇跡的な改善や治癒を認める人が
いるのかという事実です。

でも、どんな代替療法にせよ
患者さん(クライエント)に安心感や信頼感、
期待感、希望、可能性をもたらすような
かかわりが持てれば、
患者さんの「心の治癒力」が発揮され、
それが自然治癒力を高めることにもなるので、
自ずと症状が改善しても
何らおかしくはないのです。

極端な言い方をするならば、
代替療法そのものに何の効果もなかったとしても
療法家(セラピスト)の雰囲気や言動、
かかわり方、見た目などが
患者さんを十分惹きつけるものであれば、
「心の治癒力」が機能するため、
それで病気や症状が改善する可能性が
十分にあるということです。

通常、療法家の人の外見に関して
あれこれ言うことはタブーになっています。

美人とかイケメンだという理由で、
治療効果が上がっているなどと言ったら、
それこそブーイングであり顰蹙ものです。

でも、実際にはそのような側面があることは
誰もが経験的に知っています。

もっとも、クライエントが
セラピストや療法家の外見に反応するのは
最初だけです。

回数を重ねるうちに、
その療法家の本質がある程度見えてきますので、
最終的には、その人の中身や態度、
かかわり方といった要因の方が
患者さんの「心の治癒力」に大きな影響を及ぼし、
それが治療効果にも反映されることになります。

ですから、心理療法でも代替療法でも、
(実は心理療法も代替療法のひとつです)
治療する側の存在そのものが
大切になってくるのです。

今更、自分の外見をよくすることはできませんが、
中身や態度、コミュニケーションの仕方は
十分に改善の余地があります。

それに加え、整体でも鍼灸でもサプリメントでも
患者さんと関わる何かしらの物理的手段があれば、
期待感という「心の治癒力」を高めるのに
大いに役立ちます。

もちろん、代替療法そのものに
しっかりとした改善効果があるのであれば、
より一層、効果が上がることは
言うまでもありません。

ただ、ほとんどの療法家と言われる人たちは、
代替療法そのものの効果や
それによる自然治癒力アップの効果を期待して
治療しているだけであり、
患者さんに対するかかわり方が
安心感や信頼感といった「心の治癒力」を引きだし、
それがいかに自然治癒力を高め、
治療効果に影響を
及ぼしているかということについては
あまり認識されていないように思うのです。

ましてや、代替療法そのものの効果で
病気や症状が改善したと思っている
療法家やセラピストがいたならば、
それは大きな誤解です。

ぜひ一度、「心の治癒力」にも
目を向けてもらいたいものです。

実は、このことは
代替療法のセラピストのみならず、
医者にも言えることなのです。
(続く)

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

    CAPTCHA


    このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください