前回は対立する両者をいかにして
ひとつにするのかということについて
ネルソン・マンデラのことにも触れながら
お話をさせていただきました。

今回は、もう少し異なる視点から、
対立する両者へのアプローチについて
お話をしたいと思います。

お互いの意見が対立する背景には、
各々が自分の考え方の方が正しいという
思い込みがあります。

第三者の立場であれば、
両者の考え方に理解を示すことは可能ですが、
こと、自分のことになると、
どうしても自分中心に考えてしまうため、
なかなかそうはいきません。

人の価値観や考え方は、
その人の知識や経験、立場、関心、好みなど、
様々な要因により形成され、
またそれに基づく行動は、
状況やきっかけ、環境などからの影響を
大きく受けます。

つまり、人それぞれが
異なった背景を持っているため、
考え方や価値観にも違いが出てくるのは
しごく当然のことなのです。

この事実をまずは
お互いが認識し、認め合うことが
対立解消の第一歩になるのです。

この視点が欠けていると、
どうしても自分の考えを絶対視してしまい、
相手の考えは間違っているという判断を
暗黙裡にしてしまうことになります。

この際に必要になってくるのが、
相手の話を「心」で聞くのではなく
「頭」で聞くという視点です。

通常であれば、
相手の話は心で聞いています。
この場合、自分の価値観というフィルターを通して
相手の話を聞くため、
そこには共感や反発といった
快・不快の感情が伴うことになります。

だからこそ「心」で話を聞いてしまうと、
対立する相手の意見には
反発を感じてしまうのです。

一方、「頭」で聞くというのは、
客観的、第三者的、作業的に
話を聞くということです。

この場合は、価値判断を下すことはせず、
相手の話を淡々と聞き、
ただその考え方を受け止めるだけです。

つまり、
「この人は、こんな考え方を持っているんだな」
というように、良し悪しの価値判断をせずに、
先ずは冷静に受け止めるという態度が
「頭」で聞くということです。

このような聞き方をする限り、
反発心や不快な感情は出てこないので、
その後の話を冷静に進めることができます。

あとは、お互いの異なった価値観を認めつつ、
共通の目的に向かって進む上で、
連携してやっていけることを
探っていくことになります。

もちろんその検討の仕方にもいろいろあります。
例えば医療分野では
「信念対立解明アプローチ」という
考え方がありますし、
ビジネスの世界では
TOC(Theory of Costraints)が有名です。

これらは、方法論の違いはあるにせよ、
どちらも、対立する両者の思い込みを
お互いが認めたうえで、
共通する目標を達成するために
お互い何ができるのか、
どんなことなら連携、協力していけるのかを
模索していくことには変わりありません。

方法論の詳細はここでは述べませんが、
興味のある方は以下の本などを
参考にされてください。

京極真著、
「信念対立解明アプローチ入門」(中央法規)などは
比較的読みやすいかと思います。

ただし内容はすべて医療現場での事例です。
医者とナース、リハビリ、栄養科等々、
医療に携わる様々なスタッフの対立や
チーム医療内での意見の対立などの例が
豊富に取り上げられています。
医療現場で働いている方にはお勧めです。

TOC関連の本もたくさん出ていますが、
岸良裕司著、
「全体最適の問題解決入門」(ダイヤモンド社)や
村上悟著、
「問題解決を「見える化」する本」(中京出版)
などはカラーで図も多く、
初心者には読みやすい本だと思います。

ご参考までに。