先週は、心の問題が絡んでいるときは、
原因探しをしても、
結局はうまくいかないという話をしました。

しかし、原因探しが有用なときもあります。
それは、問題の原因が修正可能なときや、
修正するための手段があるときです。

例えば、職場の人たちと
あまりうまくいっておらず
悩んでいるという人がいたとしましょう。

たとえ、その人の性格やモノの見方、態度に
多少の問題があるものの、
最大の原因は、実は仕事が遅いことにあり、
そのためみんなから文句を言われ、
それがトラブルの原因になっているような場合は、
解決可能な問題と言えます。

この場合、原因は仕事が遅いということですから
なぜ遅いのか、どこが改善されたら
もう少し効率よく仕事を終わらせられるのか、
そのためには何をしたらいいのか、
といったことがわかれば対処可能です。

このように、感情や思い込みと言うよりも
仕事のやり方や効率といったような、
作業としての「行動」や「場所」「時間」に
起因するような問題であれば、
これは十分に修正可能です。

もちろん、何をしたらよいのかが
わかっているにもかかわらず、
やる気になれないとか、
どうしても行動に移せないという場合もあります。

そのようなときは、その背景に
会社を辞めたいと思っているとか
家庭内の問題が気になって
仕事に集中できないといったような、
他の重要な問題が隠れていることが考えられます。

そうであれば、今度はその背景の問題への対応が
必要になってきます。

その意味では、原因探しをするしないの前に、
何が問題なのかを明確にする必要がありますが、
実はこれが一番難しいのです。

そもそも、悩んでいる本人自身が、
何が一番の問題なのか、
根底にある最も重要な問題は何かといったことに
気づいていないこともしばしばあるからです。

仕事がはかどらないのが悩みといった
表面的な問題はすぐ出てくるのに対し、
本当の問題は、いろいろとやり取りをしている中で
次第に見えてくるものなのです。

このように、心が絡んだ問題であっても、
原因への対応が可能なものであれば、
それを明確にし、そのための工夫を
考えることで問題は解決できます。

もちろんそのような場合でも、
あまり原因探しに深入りせず、
「できていること」や「できそうなこと」に
目が向くような質問をし、
それらを引き出すことでも
十分に有用性はあります。

なぜならば、そこで引きだされた答えが、
その人にとっての、
仕事を早く仕上げるための
ヒントになっているからです。

例えば、
「どんな時には仕事を早く仕上げられた?」
という質問に対して、
「やり方がわかっているとき」
といった答えが出てきたとしましょう。

そうであれば、
やり方がわからなかったから、
なかなか仕事がはかどらなかった可能性が
見えてきます。

つまり、原因を見つけるということと、
どんなときは「うまくいくのか」を
見つけるのとは、
表裏一体の関係にあるのです。

ただし、原因探しの場合は、
根底にある重要な問題を
見つけることができる可能性がありますが、
一方で、「なぜ?なぜ?」と
繰り返し質問されるため
どうしても責められている気分に
なってしまうというデメリットがあります。

それに対して
「できていること」に焦点を当てた質問は、
希望や可能性を引き出すことは
十分に可能なのですが、
問題が不明瞭のままで進めてしまうと
適切な対応策につながらない可能性もあります。

ですから、対処可能な問題に対しては
何が問題なのかを明確にしたうえで、
「できていること」をたずねながら、
解決策を引きだしていくというのが、
最も適切な対応の仕方ではないかと
私は思っています。