元旦の17時からテレビでやっていた
芸能人格付けチェックを見ました。
テレビをほとんど見ない私ですが、
この番組だけは毎年欠かさず見ており、
毎回、楽しませてもらっています。

ご存じの方も多いかと思いますが、
この番組は、高級品がどれかを当てるという、
いわばゲームです。

例えば5,000円のワインと
1本100万円のワインを飲み比べ、
どちらが100万円のワインなのかを
当てるわけです。

誰でもわかりそうなものですが、
現実はそうはいかないのです。

今回のテーマは、
ワイン、吹奏楽、社交ダンス、
味覚、四重奏、肉の6つでした。

GACKTは今年もすべて正解し、
個人62連勝を達成しました。
これはこれですごいと思いました。

番組の最初に彼へのインタビューがあり、
そこで語っていたことは、
ワインでも食べ物でも、
常に新しい知識や経験を積み重ねて、
勉強し続けているというのです。

ただ単に直感で正解しているというわけではなく、
知識や経験に裏付けされた結果だったのです。

私がなぜ、この番組がお気に入りかというと、
人が物事を判断するさいの感覚が、
いかにいい加減なものなのか、
直感で正しいと思ってしまうことが、
いかに大きな影響力を及ぼすのかということを
如実に教えてくれるからです。

例えばワインの問題でも、
たいていの人は迷います。
いろいろな理屈をつけて、
こちらが100万円のワインだと言うのですが、
当然、5000円のテーブルワインを
選んだ人もいました。

こちらが100万円のワインだと判断したら、
その理由をいろいろ述べるのですが、
コクと深みがあるとか、
口に含んだ時のまろやかさが違うとか、
もっともらしい理由付けをするのですが、
結局そちらが5000円のワインだったりするのです。

人は、一度正しいと思ってしまうと、
後付けで、あれこれ理由をつけて、
自分の選択を正当化するというのは
人が基本的に持っている心の癖なのです。

実際問題として、美味しいか否かは、
主観によるところが大きいので、
人によっては100万のワインよりも
5000円のワインの方が
美味しいと感じる人はいるでしょう。

味だけでどちらかを判断しようとすると、
GACKTのように知識や経験が必要になります。

普段私たちは、
味や香りだけでお酒や料理を
美味しいと感じているわけではありません。

そのお店の評判や雰囲気、料理の値段、
お皿の種類や盛り付け方、
そして最も重要なのが、
誰と一緒に食べるのかということです。

逆に言うと、美味しさというのは
味以外の要素にかなり左右されるということです。

ですから、
普通のワインだと思って飲んでいたのに、
実はこれ、100万円のワインですと言われると、
急に美味しいと感じてしまうとしたならば、
それは「頭」で飲んでいるからに他なりません。

最も楽しめたのは、最後の「肉」の問題でした。
これは、三者択一の問題で、
黒毛和牛の最高峰ブランド「松阪牛」、
ウルグアイ産の牛肉(100g300円)、
そして、カナダ産の豚肉(!)から、
松坂牛を選ぶというものでした。

いくら何でも、
豚肉を松坂牛と間違える人は
いないだろうと思うのですが、
和田アキ子は見事に豚肉を選んでいました。

人は何かを選択する場合、
一瞬でも「これかな?」と感じてしまうと、
最後までその思いに引っ張られてしまうという
心の癖があります。

この場合も、
どう血迷ったか豚肉を一瞬松坂牛?と
感じてしまったのでしょう。

ですから、本物の松坂牛や普通の牛肉を食べても、
最初に「これかな?」と思ってしまった豚肉に
最後まで気持ちが引っ張られ、
最終的に豚肉を選んでしまった可能性はあります。

このようなことは、
われわれの日常でもごく当たり前にあります。

例えば心療内科に通院中の患者さんが、
ある時、救急外来に
お腹が痛いといって受診してきましたとしましょう。

カルテを見てみると
以前から同様の症状で何度も受診しており、
「神経性胃炎」と診断されているのを見てしまうと、
なんのためらいもなく、
それが正しいと思ってしまうのです。

吐いたとか、最近痩せてきたと聞いて、
胃がんや胃潰瘍の可能性が頭をよぎりながらも、
多分いつもの神経性胃炎の症状だと判断し、
安定剤を出して診察を終える、
そんなことは普通にあります。

その結果、
ときに、胃がんを見逃してしまうということが
起こるわけです。

このように、
最初にピンときたことに引っ掛かり、
客観的な視点で見られなくなるというのは、
ごく一般的なことであり、
それが人の持っている心の癖なのです。

芸能人格付けチェックは
このような、私たちの日常に潜んでいる
心の癖を再認識させてくれる番組なので、
私はとても好きなのです。