ブログ:人を依存症に陥れるテクニック
『僕らはそれに抵抗できない
~「依存症ビジネス」のつくられかた』
(アダム・オルター著、ダイヤモンド社)
の続きです。
人を夢中にさせ、中には依存症にまで
してしまうためのテクニックが存在しています。
当然のことながらゲームなどには、
これらの要素が取り入れられています。
その要素とは以下6つです。
1,ちょっと手を伸ばせば届きそうな
魅力的な目標があること(目標)
2,抵抗しづらく、また予想できない
ランダムな頻度で報われる感覚があること
(フィードバック)
3,段階的に進歩・向上していく感覚があること
(進歩の実感)
4,徐々に難易度を増していくタスクがあること
(難易度のエスカレート)
5,解消したいが解消されない緊張感があること
(クリフハンガー)
6,強い社会的な結びつきがあること
(社会的相互作用)
すべての項目について説明すると
長くなりすぎるので、
主立ったところや、興味深いところを中心に
お伝えします。
先ずはフィードバックの話からです。
動物は確実な報酬よりも
予測不能なフィードバックの方を好みます。
それはハトの実験でも確認されています。
ボタンをつついて押すと
エサが出てくる仕組みになっている檻に
ハトを入れます。
その際、ボタンをつつくたびに
必ずエサが出るパターンと、
時々しか出てこないパターンの
二種類を作ります。
どちらのパターンの方が、
ハトは意欲的にボタンをつつくかを調べてみると
後者、つまりランダムにエサが出る方が、
ボタンをつつく回数は二倍も多かったのです。
つまり、エサが出る確率が100%ではなく、
50%~70%の確率にしたときの方が、
ハトはボタンを猛烈につつきまくるのです。
ただしエサの出る確率を10%にすると、
心が折れてしまうのか、
全くつつかなくなりました。
この仕組みをうまく利用しているのが、
フェイスブックが導入した
「いいね!」ボタンです。
これは、予測不能なフィードバックであり、
ギャンブルにのめり込むときと同じ要素が
ここにはあるのです。
まさに「いいね!」はデジタルドラッグであり、
ヘロインやコカイン依存症に陥るのと同様、
「いいね!」依存症に陥る可能性を
秘めているのです。
また難易度が少しずつ高くしてくと
それにのめり込む可能性も
高くなることが知られています。
テトリスというゲームをご存じでしょうか。
ブロックが落ちてきて列を作ると消えるという、
あのゲームです。
これも最初は
ブロックが落ちてくる速さはゆっくりですが、
クリアしていく度に少しずつ速くなり
難易度が高くなっていきます。
それにともないプレイヤーの方も
次第に上手になり達成感もあります。
このように難易度が
少しずつ高くなっていくことが、
ゲームを長く遊び続けたくなるための
重要な要素なのです。
人は「簡単すぎる」と「難しすぎる」の
中間にある「ちょうどよい」領域に対して、
抗うことができない魅力を感じるものです。
こうして行動依存は、
創造や進歩というマントに身を包んで
ひっそりと忍び寄り、
少しずつのめり込ませながら
その人を虜にしていくのです。
また人を依存症にする、
ゲームの持つ3つの要素についても
述べられていました。
それは没入感、達成感、
そして一番重大な要素が社会的要素です。
ゲームを通してつながる人と
擬似的な仲間意識や友情を
育てる仕組みがあることが
ゲーム依存を作り出す大きな要因になります。
特に現実社会で寂しさや孤独を感じている人は、
ゲームの中での人とのつながりに
癒しを感じるため、
より一層のめり込むことになります。
私たちは知らず知らずのうちに、
このような依存症に引き込むワナに引っかかり、
いつの間にかゲームから
離れられなくなってしまうのです。
しかしその一方で、
ここで書かれている
依存症に引き込むためのテクニックは、
そのまま、良い習慣をつけるための
テクニックでもあります。
勉強にせよ、運動にせよ、
このテクニックをうまく取り込めば、
自然と運動や勉強をするという「行動」に
いい意味でのめり込むようにも
なるというわけです。
これらのテクニックをどう使うか、
日常生活にどう活かすかは、
私たちの考え方次第というわけです。
まさに両刃の剣です。