シンポジウムの午後は、
Yosei Maluhia 辻さんの
パフォーマンス&トークの後、
柏木哲先生の講演がありました。

パフォーマンスでは辻夫妻で登場され、
今までに見たことのない
神秘的で情熱的なフラを披露されました。

この伝統的な古典フラは、
私たちが見慣れている現代フラとは
全くの別物であり、
とてもスピリチュアルな雰囲気のある踊りで、
一見の価値がありました。

フラのあとは柏木哲夫先生の講演でした。
演題は「ホスピスから見える幸せのかたち
~人生との実力との関係」です。

柏木先生は、「幸せ」と「幸せ感」とは
異なるものだと言います。

健康や恵まれた人間関係があっても
幸せと感じられない人もいれば、
逆にそれらがなくても
幸せだと感じられる人もいます。

つまり、どんな状況であっても、
幸せ感を持つことはできるのであって、
この幸せ感を持つ力のことを
「人生の実力」と言っていました。

柏木先生が考える、
人生の実力者が持っている要素とは
以下の10項目です。

1,物事のプラス面をしっかりと見ることができる
2,自分に不都合な事が起こってもいらだたない
3,決断した結果をよしとする
4,しっかりと人を許せる
5,こころから謝れる

6,こころから感謝できる
7,人をねぎらうことができる
8,ユーモアセンスを持っている
9,将来の可能性を見ることができる
10,縦の平安を持っている

柏木先生は2500名の末期がん患者さんの
最後を看取った経験を通して得た
10項目だからこそ、
説得力があると思いました。

自分の死という、
人生の最後を迎えるにあたり、
幸せを感じることができるのは、
まさに、これらの要素を持った
「人生の実力者」だからだと言えます。

ただその一方で、
このような思いが持てない人、
つまり感謝や労い、謝ることができない人も
確実にいます。

そのような人たちが、
どうしたら人生の実力者になれるのか、
そのことについては機会があったら、
ぜひ聞いてみたいと思いました。

そして最後はスペシャルゲストの
瀬尾まなほさんの講演です。

まず、寂聴さんとまなほさんの寂庵での日常を
テレビで放映された映像を使って
紹介してくれました。

その映像を見ると、
寂聴さんは本当によく笑っていました。
それもすべて、彼女が笑わせているのです。

寂聴さんの講話の中で
長生きの秘訣は「笑うこと」と言っており、
まなほさんも、寂聴さんを笑わせること、
楽しくさせることが
自分の仕事だと言っていました。

寂聴さんはすでに97歳であり、
身体的な衰えは避けられません。
でも少しでも長生きして
もらいたいという思いもあり、
毎日、寂聴さんを
笑わせているのだと思います。

講演では、寂聴さんとの関わりを通して、
彼女が大きな影響を受けたエピソードについて
いくつか語ってくれました。

就職が決まらず、
自分に自信が持てないでいた彼女は、
たまたま友人が紹介してくれたことから
採用面接を受け、寂聴さんの秘書として
働くことになりました。

あるとき、寂聴さんに
「これやってごらん」と言われた際、
「私なんかそんなことできません」と
言ってしまったことがありました。

つい出てしまった言葉だったのですが、
それを聞いて、
いつもはニコニコしていた寂聴さんの表情が
急に厳しくなり、
「『私なんか』なんて言う、
自分を粗末に扱う人間はここにはいらないから
出て行きなさい」と、
初めて怒られたと言います。

その時はとても驚いたのですが、
同時に、自分を粗末に扱っていることを
他人に怒られたことが、
とても嬉しかったと言います。

以来、自分を蔑むことはしなくなり、
少しずつ自信が持てるようになりました。

また、寂聴さんは安定しているとそれを壊し、
新しいことをしたくなる性格のようなのです。

そのことについて、
「人間はいくつになっても変わることができる、
どんな小さなことでも変わり続けることができる、
それが『革命』なの」と言っていたそうです。

今までしていなかった皿洗いを
手伝うようになったといったような、
そんな、日常における
ほんの小さな行動であったとしても、
その変化のことを寂聴さんは
「革命」だと言っているのです。

また、あるときは、
「いつも自分のことばかり考えていてはダメ!
宇宙と自分、世界と自分、日本と自分ということを
常に意識して行動しなさい」と言われたそうです。

これらの言葉に動かされ、
彼女は今、「若草プロジェクト」という、
困っている少女や女の子に寄り添い、
援助する活動をしています。

世の中には、
虐待やアル中の親から逃げたい一心で、
家を飛び出し、食べるものも住むところもなく
日々さまよっている少女たちがたくさんいます。

そんな彼女たちを言葉巧みに誘い、
食いものにしている大人がたくさんいます。
彼女らに甘い言葉をかけ、
食事や寝場所を提供するのですが、
それはキャバクラや風俗、AVへと
売り飛ばすのが目的なのです。

そんなことに巻き込まれる彼女らを
何とかしたい、少しでも手助けしたい、
そんな思いがまなほさんを動かし、
若草プロジェクトの活動に
一生懸命に関わるようになりました。

まなほさんは、寂聴さんに出会って、
大きく変わったと言います。
彼女の話を聞いて、
まさに人との出会いが人を変えるということが
ひしひしと伝わってきました。