知らず知らずのうちに
人の心に影響をもたらし、
その人の判断や行動を左右させるものに
「希少性」があります。

これは、数が少ないとか入手しにくい等、
手に入れる機会が限られていると、
それは価値のあるものだと
感じてしまう心理です。

物を売る世界では、
このテクニックは頻繁に使われています。
「限定」を全面に出すテクニックは
その典型です。

「先着100名様限定!」
「1日30食のみ!」
こうした広告や張り紙を見ると、
早く買わないと
なくなってしまうという気持ちを
おおいに煽られるものです。

これは「数」を限定していますが、
「地域限定」や「店舗限定」といった
うたい文句もよく見かけますが、
これも同じ原理です。

旅行に行ったりして
お土産を買おうとすると、
お店には「限定」表示が氾濫しています。

「北海道限定」
「東京駅でしか売っていません」
「このお店でしか買えません」
といった表示がそれです。

また、「時間限定」や
「期間限定」もあります。

早朝前にテレビをつけると
よくテレビショッピングが流れています。
これを見ると「希少性」を利用しているのが
よくわかります。

商品を宣伝したあと、
「今テレビを見ているあなたには
特別にもう一袋サービスします!
ただし30分以内にお電話頂いた方に限ります」

30分以内というように
時間を限定することによって、
買おうか買うまいか迷っているような人は、
早く買わないと
損をしてしまうという気にさせられ、
つい電話をかけてしまうという仕組みです。

なお、その後司会者が
「電話が混みあっており、
かかりにくい場合があります。
ご迷惑をおかけしてすみません」
と付け足すこともあります。

これは「社会的証明」を利用しています。
電話がかかりにくいくらい、
多くの人が申し込んでいるのであれば、
よい商品にちがいないので、
私も申し込もうという心理を
うまく利用しているのです。

「期間限定」は日常的に見かける
決まり文句です。

私は毎日ビールを飲みますが、
銘柄は「一番搾り」です。
ところが秋の季節だけは
「キリン秋味」を飲みます。

初めて、秋味を見たとき、
期間限定と書いてあったので、
今の時期しか飲めないんだと思い、
いつも飲んでいる一番搾りをやめ、
秋味を飲んでみました。

これがことのほかおいしく、
以来、秋味にはまっています。

もしこの商品が「期間限定」と
書かれていなかったら、
多分、いつも通り一番搾りを
飲んでいたと思います。

人って、やはり
このときにしか買えないとか、
この時期にしか飲めないと言われると、
つい買ってしまうものですね。

希少性のことをそれなりに知っている私でも
その影響力には抗しきれないものです。

このように数が少ないものや、
地域や期間が限定されたものには
価値があるという思いは、
無意識が作り出す反応です。

こんな実験があります。
消費者モニターの参加者に、
クッキーの入った瓶を渡し、
1枚食べて評価して下さいと頼みます。

半分の参加者には、
クッキーが10枚入った瓶を、
もう半分の参加者には
クッキーが2枚しか入っていない瓶を
手渡します。
もちろん中身は全く同じクッキーです。

結果はおわかりのように、
2枚しかないうちの1枚を食べた方が、
10枚のうち1枚食べた方よりも、
また食べたいという思いが強く、
商品としての魅力や値段も
高い評価がつけられました。

このように人は、
少ないものの方が価値があると、
無意識レベルで感じてしまい、
知らず知らずのうちに
高評価をしてしまうのです。

皆さんは日々、
「希少性」に騙されていませんか?