相手に好意を抱いてもらうことや、
権威があるというだけで、
人に影響を与える重要な要因になります。

人は、いいなと思う人の言うことは
素直に聞き入れますが、
嫌だなと思う人が言うことは、
例え同じことを言われても
素直には受け入れられないものです。

つまり、相手の意見や考えを
受け入れるか否かは、
内容に勝るとも劣らず、
誰からいわれたのかという要素に
大きく左右されます。
これがまさに「好意」の影響力です。

弁護士は陪審員に対して、
いかにうまく依頼者への好意を抱かせるかが
腕の見せ所ですし、
セールスの上手な人は、
この人から買いたいと思わせるような
態度や雰囲気を持っています。
これらも「好意」の影響力を
仕事にうまく使っている例です。

もちろん、
美人やイケメンといった見た目のよさには、
人は無意識に反応し、
自動的に好意をもちますが、
お互いにつながりや共通性があるだけでも
人は好意を持ちます。

例えば、考え方や性格が似ているとか、
家庭環境、ライフスタイルが似ていると、
好意を抱く傾向にあります。

そこまでの共通性ではなくても、
誕生日や年齢が同じだとか、
出身地が同じというだけで、
多少なりとも
好意を持ってしまうのが人なのです。

私もつい先日、こんなことがありました。
以前から知っている、ある芸術家の人から、
今度、催しをするので
1口1万円で寄付をして欲しいと
連絡がきました。

正直言って、
積極的に寄付をしたいとは
思っていませんでしたが、
なぜか、了解してしまいました。

特に親密というわけでもなく、
少し知っているという程度のつながりなので、
断ろうと思えば断ることはできました。

後で、なんでOKしてしまったんだろうと
思いをめぐらしていたのですが、
ふと、彼とは同い年という共通点があることを
思い出しました。

それだけで好意を持つとは思えませんが、
しかし、そんな些細なことでも、
僅かながらの親しみを感じ、
それが「好意」の影響により
寄付をするということにも
一役買っているのかなと思いました。

次に「権威」です。

人は誰でも、
権威のある人を目の前にすると、
なぜか畏まってしまったり、
言うことを聞いてしまったりした経験は
あるのではないでしょうか。
これがまさに「権威」の影響力です。

医者は権威の代表であり、
白衣は権威の象徴と言えます。
健康食品の宣伝に、
医者のコメントや推薦の言葉があるのは、
まさに「権威」の影響力を
利用していると言えます。

肩書きも権威を示す大きな武器です。
「医者」「弁護士」「教授」といった文字が、
名刺に書かれているだけで、
勝手にすごい人、偉い人、賢い人といった
思い込みを持ってしまうのです。
それだけ、影響力を与えることができるのが
「権威」なのです。

「権威」が特に問題になるのは、
自分が意図しないことであったとしても
権威のある人から言われると、
それに従ってしまうことです。

この事実はミルグラムの実験で
明らかになっています。

実験の詳細は省きますが、
要は、指導者や先生に
罰として人に流す電流の強さを
「もっと上げてください」と言われると、
被験者が絶叫して悶え苦しむ状況になっても
その命令に従ってしまうのです。

この実験をする前は、
指導者に言われて、
電流の強さを最大450ボルトまで上げる人は、
ほとんどいないだろうというのが
専門家の一致した見解でしたが、
実際には、40人中26人(65%)が、
最大電圧まで上げたのでした。

このことから、
指導者や先生といった
「権威」のある人から言われると、
自分が意図しないことであったとしても
それに従ってしまうという心理が
働いてしまうことがわかります。

よい意味でも悪い意味でも
「権威」は人に大きな影響を
与えるものなのです。