意識と無意識の関係はよく
海に浮かぶ氷山にたとえられます。
つまり海面から姿を見せているところが
「意識」であり、
海の下に潜っていて見えない部分が
「無意識」というわけです。

ただ無意識には意識に近い無意識と、
奥底にある無意識があり、
精神分析では前者を「前意識」、
後者を「無意識」と呼んでいます。

私は精神分析の考え方が好きではないので、
両者を区別することはせず、
ともに「無意識」と言っていますが、
主に「前意識」の意味で使っています。

この無意識は、普段は意識されませんが、
意識化が可能な心の領域のことです。

例えば、人に対する第一印象などが
それに当たります。

パッと見てよさそうな人だと感じた場合、
その瞬間は「何となく」といった感覚で
判断していますが、
なぜそう思うのかとたずねられると、
優しそうだからとか、頭がよさそうだからとか、
いろいろ理由を述べることは可能です。

ただその場合、
言葉に出すことで「あっ、そうか」と、
自分がそう思っていたことを
初めて認識するのです。
これが、無意識にある情報の
意識化ということです。

ですから、無意識と言いながらも、
言語化などを通して、
意識することは可能ですし、
逆に、意識されても、
たいていの場合は、またすぐに無意識に中に
しまい込まれてしまいます。

ただし、一度、意識化しておくと、
再び無意識にしまい込まれても、
以前よりも意識に近いところに保存されるため、
その情報は容易に取り出せるようになります。

このようにして、
その情報を繰り返し利用していると、
単なる無意識の中の一情報だったものが、
次第に有益な情報や重要な情報に変わり、
さらにそれが強化されると、
ときにそれは確信や信念に変わっていきます。

私の場合で言うと、
心療内科での治療を続ける中で、
心へのアプローチは有用かもしれないという
無意識レベルにあった情報が、
ブリーフセラピーに出くわすことで、
意識化される「きっかけ」が増え、
さらにそれを実践する中で、
その有用性は確信や信念に変わっていきました。

また、無意識に蓄えられている有用な情報が
どれくらい意識化されるかによって、
人の思いや行動に表れる
変化の程度も変わってきます。

だからこそ、
無意識の情報が意識化される「きっかけ」が
大切になってきます。

例えば、自分が尊敬している人に話を聞くとか、
異なる考え方を持った人たちと交流を持つとか、
自分の思いを言語化や文章化してみるとか、
絵画や音楽、映画を楽しむとか、
たまには違った環境に身を置いてみるとか、
そんなことをすることが、
無意識の中に眠っている有益な情報を
呼び覚ます「きっかけ」になるのです。

それが、無意識を意識化することになり、
自分の将来にとって大切な第一歩を踏み出す
「きっかけ」になるのです。

ただし、無意識にある情報が、
ひとつの「きっかけ」で
一気に花開くということはありません。

無意識の中にある情報は、
相互作用的につながりを強めることで
ネットワークを次第に大きくし、
それが十分に熟成された状況になってはじめて、
ある「きっかけ」があるとスイッチが押され、
一気に開花するのです。

ですから、先ずはできるだけ
無意識にたくさんの情報を取り込み、
日常の様々な機会や刺激、体験を通して
それらをつなげるという作業が
大切になってきます。

その時に大切になってくるのが
自分が興味のあることや、
自分のやりたいと思うことです。

そのようなことはすでに、
無意識の中で情報が相互につながり、
ある程度の大きさになっています。

それを日常の刺激や行動により
さらに大きく膨らませることができれば、
早い時期に、それなりの「きっかけ」で、
一気に開花する可能性が高いからです。

みなさんも、
無意識の中で眠っている可能性の種を
たくさんの「きっかけ」を通して育て、
開花させてみませんか。