ブログ:ゼロリスクを目指すのは問題!
何をするにおいても、
リスクは少ないに越したことはありません。
例えば、患者さんの治療をする場合、
医者は副作用や合併症といったリスクを
できるだけ減らすように心がけます。
また、患者さん自身も
病気になるリスクを減らすために
健康に気を遣います。
しかしこれが過度になると
逆にデメリットが大きくなるので
何事もほどほどが大切になります。
例えば造影剤を使ったCT検査では
40万に一人くらいの割合で、
死亡事故が起きます。
そのリスクをゼロにするためには、
造影CTの検査を
しないようにすればよいのです。
しかしそんなことをしたら
今度はこの検査で発見できたがんを
見逃してしまうことも起こり得ます。
そんな人が何人もいるのであれば、
検査で亡くなる以上のデメリットが生じます。
ですから、どんなことでもそうですが、
リスクをゼロに近づけようと
必死になり過ぎると、
全体のメリットよりも
デメリットの方が大きくなってしまう
結果になるのです。
ところが人はリスクへの不安から、
とことんリスクをゼロにしようと
がんばってしまう傾向があります。
これが「ゼロリスクバイアス」と呼ばれる
思考のクセのひとつです。
マスクの着用に関してもそれは言えます。
ほとんどの病院では今なお
すべての人にマスクの着用を求めています。
しかし無症状の人が
マスクをする意味はほとんどありません。
このブログでも何度も言っているように
マスクをし続けることのデメリットは
たくさんあります。
一番問題になるのは、
お年寄りや認知症患者さん、小さな子供との
コミュニケーションへの悪影響です。
さらに顔が見えない関係では
一般の患者さんも安心感や信頼感が
低下します。
ですから、マスクをする必要のない人は
できるだけマスクは外した方がよいのです。
一方で、こんなことを言う人もいます。
無症状の人であっても、
コロナやインフルエンザの
潜伏期間中の人もおり、
その人たちは人に感染させるリスクが
あります、と。
確かにそのような人が
近距離で大声を出したり歌ったりして
その人に飛沫をとばすことで
感染させてしまう可能性は
ゼロではありません。
しかしそんなことをする人は
極めて少ないと思われます。
ところが、
ゼロリスクバイアスに陥っている人は、
極めて少ない可能性であっても
そのリスクを何とかしないといけないと
思ってしまうのです。
そうなると当然、無症状の人でも
マスクをするべきだという主張になります。
そうなると病院では
永久にマスクは外せなくなります。
コロナ前までは
インフルエンザの流行期であっても
無症状の人はほとんど
マスクをしていなかったのが
当たり前でした。
しかしゼロリスクバイアスに陥ると、
その当たり前のことが
できなくなってしまうのです。
無症状の人からの感染という
0.1%のリスクを避けるために
コミュニケーションへの悪影響や
顔が見えないことによる
安心感や信頼感の低下を
犠牲にしてもよいものなのでしょうか。
今の医療は、
身体的なことばかりに目を向け、
心理面や安心感といったことは
軽視しがちです。
マスクに関しても、
ゼロリスクバイアスに陥ることなく、
心身両面からトータルに見て
物事を判断するという視点を
持ってもらいたいものです。
