前回の続きです。
では、コミュニケーションの何が、
患者さんの病気や症状に影響を
及ぼしているのでしょうか。
その点についてもう少し詳しく
お話ししたいと思います。

第一に、当然のことながら
医者の患者さんに対する
かかわり方が最も重要な要素となります。
わかりやすく納得のいく説明をしているか、
優しさや思いやりの気持ちを持っているか、
といったところが基本です。

これだけでも患者さんは
安心感や信頼感を持ってくれるので
症状の軽減に影響を与えます。

もう少しレベルが高いかかわり方としては
患者さんの価値観を大切にしているか、
希望や可能性をうまく引きだす視点で
かかわりを持っているか、
意欲や前向きな姿勢を促すような
コミュニケーションが取れるか
といったことが挙げられます。

このようなかかわり方ができれば、
患者さんは医者に対して
安心感や信頼感だけではなく、
喜びや意欲、希望も
持つことができるようになるため、
その心の状態が自律神経系や神経伝達物質、
ホルモン系や免疫系の働きを活性化し、
症状や病気の治療効果に
大きな影響を与えることになります。

次に重要になってくるのが、
医者自身が自分の治療に対して
自信や信頼を持って
かかわっているかということです。

医者自身があまり効かないと思っている治療は
効くと確信を持っている場合と比べ、
同じ治療をしても効果に歴然とした違いが
出てきてしまうということもわかっています。

もっとも自信過剰で、
常に自分が正しいと思っている医者もいますが、
それはそれで問題になります。

なぜならば、患者さんの意向を大切にせず、
自分の正しいと思うことを
つい押しつけてしまいがちになるからです。

治療に自信を持ちつつ、
同時に患者さんの意向や価値観にも配慮できる、
そんなバランス感のある医者であれば、
患者さんも安心感や信頼感を
持つことができるので、
治療もよりよい結果を生む可能性が
高くなるというわけです。

なお医者が投薬や手術をする場合、
医者患者関係はとても重要になってきます。
どのような治療をするにせよ、
医者が患者に対してよくなるという思いがあり、
かつ患者が医者に対して
信頼感を持っている場合に、
最も治療効果が高くなると言われています。

さらに言うと、
医者のかかわりのみならず、
患者さん自身のリソース(資源)も
重要な要素になります。

患者さんを支える家族や仲間がいるのか、
経済的な支えがしっかりしているのか、
自分の考えを持っているのか、
治療に対する自発性があるのか、
といった患者さん自身の要因も
医者が治療する上において、
影響を及ぼすことは言うまでもありません。

そのため患者さん自身が
様々な問題を抱えている場合、
それを支えるような社会的な援助も
必要になりますし、
それらのあるなしによっても
症状や病気によっては、
よくなり具合は変わってくると言えます。

いずれにせよ、
治療的かかわりは、
薬や手術だけではなく、
医者のコミュニケーションを始めとし、
様々なかかわりが大きな影響を与えるのです。

その点を医療者の皆さんには
十分に知って頂き、
診療や治療に大いに活かして頂けることを
願ってやみません。