ブログ:医療とコミュニケーション

心と体がつながっているというのは
誰もが知っている事実です。
それを単純な言い方で表現するならば、
安心感や喜びは体によい影響を、
持続的なストレスや抑うつ気分は
体にマイナスの影響を与えるということです。

一方、患者さんは検査の結果や
治療の効果に一喜一憂しますが、
主治医や医療者のかかわり方いかんで、
ホッとしたり落ち込んだりもします。

つまり、医療者とのコミュニケーションは
患者さんの心にストレートに響くため、
それが病気や症状にも
影響を与えることになります。

そうであれば医療において
患者さんの思いを大切にし、
また患者さんに信頼感や安心感を
持ってもらえるようなかかわりをすることが
とても重要だというのは当然のことです。

ただし、現場では患者さんに、
悪い結果を伝えないといけない場合もありますし、
落ち込むであろう話を
せざるをえないこともあります。

そんな時でも、
患者さんの不安や落ち込みを最小限にし、
そこに少しでも希望を持ってもらえるような
話をしてあげるだけで、
ずいぶんと心の支えになります。

私は緩和ケア医ですので、
手術や抗がん剤の治療が
もうできないという患者さんがたくさん来ます。

現実を受け入れ、
あとは楽に逝かせてくれさえすれば
それで結構ですという患者さんには、
最後は苦しまずに楽に逝けることを保証します。
それだけで患者さんはとても安心します。

中には、治療はもうできないと言われ
落ち込んでいる患者さんもいます。

そんな患者さんには、
全く治療をしなくても、
ことのほか長生きされた患者さんや
悪くなるどころか、
逆にがんが消えてしまった患者さんも
いたという話をしてあげます。

すると、治療ができないと言われて、
落ち込んでいた患者さんも、
治療をしなくても、
長生きできる人も
いるんだという事実を知ると、
それだけで希望が持てます。

もちろん、そのような患者さんは
確率的には少ないのですが、
「ゼロ」ではありません。

ですから私は胸を張って患者さんに言います。
「そのように治療をしなくても
よくなる可能性は『ゼロ』ではありません」

このようなコミュニケーションにより
患者さんの不安や落ち込みも
ずいぶんと和らぐものです。

さらに、もう治療法がないと言われ
緩和ケアに紹介される患者さんのうち、
まだ諦めたくないという気持ちを
持っている人が何割かいます。

そんな患者さんには、
治療的代替療法を紹介しています。
これはがんの治療を視野に入れた
代替療法のことですが、例えば
免疫療法やビタミンC大量療法などがあります。

ただし、どれもかなり高額で、
保険もきかないので全て自費扱いになります。
そうなると数ヶ月で数百万くらいは
かかってしまいます。

ですからたいていの人は諦めますし、
また効果の方もはっきり言って不明です。

そうであっても、
代替療法でがんがよくなる確率もまた
ゼロではありません。

そのため、最も安価な免疫療法を
私はいつもお薦めしています。
それが丸山ワクチンです。

これは一日おき、もしくは週3回、
病院などで皮下注射をする必要がありますが、
これだと40日で1万円弱と、
とてもリーズナブルな値段になっています。

全く治療をしていないというのと、
何かしらの治療を受けているというのでは、
心の状態も当然異なります。

丸山ワクチンをしているというだけでも、
多少なりとも安心感や期待感が持てるもので、
それが、心のケアにもなっています。

このように、安心感や期待感を引きだす
かかわりやコミュニケーションも
医療の現場ではとても重要です。

なぜならば、患者さん自身の
心の状態が安定するということもありますが、
時に、そのような心の状態が、
体の治癒力(自然治癒力)にも
よい影響を及ぼし、
苦痛症状が軽減したり、場合によっては
がんそのものが
小さくなることもあるからです。

だからこそ医療現場では、
患者さんに安心感や希望、喜びをもたらすような
コミュニケーションが必要不可欠であり、
これが時に治療以上の効果を
もたらすことにもなるのです。

そのような意味で、コミュニケーションは
単に情報のやり取りだけではなく、
まさに症状や病気にも影響を及ぼす
治療そのものにもなり得ると
私は考えています。

    ブログ:医療とコミュニケーション” に対して1件のコメントがあります。

    1. 中川 貴 より:

      患者に希望を持たせるコミュニケーションを実践しておられるのですね。素晴らしいと思います。

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