よく、人生の目標を持てとか、
自分がやりたいことを
明確にすることが大切だとか言われますが、
自分が目指すべき人生の目標を
しっかり持っている人など、
果たしてどれくらいいるのでしょうか。

私も、もうじき還暦になろうとしているのに
今以て人生の目標は明確になっていません。

確かに高校時代に
医者になろうという目標があったので
今は医者になっていますが、
大切なのは、医者になって何をしたいかです。

当時の私は、西洋医学に反発がありました。
病気の治療を機械の修理のように考えている
西洋医学はおかしいと思っており、
それを何とかしたいという思いから
医者になりました。

その思いは今も私の根底にあり、
それが心療内科医への道に進ませた
大きな要因にもなっていますが、
本当は何がしたいのかと言われると、
未だによくわからないというのが
正直なところです。

ただし、漠然とした方向性は見えてきました。
心療内科医として心理療法を駆使して
患者さんの治療をしているときが
最も充実感を感じているときでした。

十数年の間、心療内科医をしていましたが、
縁あって、15年前から緩和ケア医になりました。
ところが緩和ケア医になってからも、
心理療法やコミュニケーションへの関心は
薄れることなく、それどころか、
かえって強くなったと言って過言ではありません。

このときにはっきりと思いました。
私は心理療法が好きなんだなと、
そしてそれを教えるのはもっと好きだと。

それならばやろうじゃないかと思い立ち、
ホリスティックコミュニケーションの
セミナーを初めて開催したのが
ちょうど十年前でした。

このセミナーをやっている時は、
心療内科時代に感じていた充実感と
同じものがあるので、
やっぱり私が一番やりたかったことは
これなんだと再認識しました。

ただその一方で、
このまま同じように
定期的にセミナーを開催しているだけで
よいのだろうかという思いがあるのも確かです。

心の中には色々な思いがありますが、
まだまだ混沌としており、
まさに試行錯誤の真っ最中といった感があります。

でも、今までやってきたことは
決して無駄なことではありません。
色々な知識や経験が様々な形でつながり、
それらが熟成され、昇華し、
あるとき、ちょっとした「きっかけ」で
ブレイクスルーする、
それが人生というものではないでしょうか。

もちろん、それは自分の力だけで
成し遂げられるものではありません。
時期やタイミング、
偶然の出来事や新たな出会い、
気づきやひらめきなどが相まって、
新たなステージへと昇っていくわけです。

私ももう少し、心の声に耳を傾けつつ、
自分が本当にやりたいことに気づけるその日を
楽しみにして待ち続けたいと思います。