ブログ:知能や性格は遺伝で決るのか?
よく、知能の半分は遺伝だとか
性格は遺伝によって決るといったことが
言われます。
もちろん環境の影響もあるので、
私は遺伝と環境の影響は
大方半々くらいかなと思っていました。
でも『社会は、静かにあなたを「呪う」』を
読んでまた考え方が変りました。
実は、遺伝による影響の程度は
決っているわけではなく、
状況や環境によりずいぶんと変化するのです。
例えばIQ(知能指数)の遺伝率を見てみると
裕福な地域で暮らす子供は約72%に対し
貧しい地域で暮らす子供は10%未満です。
つまり生まれた環境が違うだけで
遺伝による影響に60%もの差が
ついてしまうのです。
その理由は簡単です。
貧しい地域には良質な学校や塾が少ないため
学びの質や量が
自然と制限されてしまうからです。
このような状況では
たとえ生まれつきIQが高かったとしても
その素質を十分に発揮できないのです。
またIQの高い親からは、
IQの高い子供が生まれると
言われることもありますが、
これも調べてみると
かなり疑わしことがわかります。
2,202組の親子のIQを分析した研究では
親の知能をいくら調べても
子供のIQが高いか否かは9~16%程度でしか
予想できないということでした。
これではとても
知能は親からの遺伝により決るとは
言えません。
頭のよさや背の高さといった要素は
どちらも親に似やすいイメージがありますが
実際はその確率は意外と低いのです。
また性格も遺伝の影響を受けており、
性格は変えられないと
言われることもありますが、
そんなことはありません。
実際、約500人の男女を20年にわたり
追跡調査した研究があります。
それによると大半の参加者は
性格は大きく変ったと言っています。
内向的だった人が
年齢とともに社交的になったり、
神経質だった人が穏やかで
ストレスに強くなったりといった具合です。
なかでも顕著な変化が見られたのは、
自分の価値観を
しっかりと持っている人です。
例えば社会に貢献するとか、
常に挑戦するといった価値観を
持っている人です。
このように人生のなかに
自分なりの芯を持つことができると
性格がよい方向に変っていく可能性が
高くなると考えられています。
さらに言えば人間の性格は
人生の中で味わった体験によっても
変化します。
例えば離婚や昇進、
病気や死別といった体験は
その人の性格を変えるだけの
インパクトがあるという研究もあります。
逆に、特定の行動が
遺伝子自体の働きに影響を与えることも
研究でわかっています。
例えば親切な人は、
他人にポジティブな影響を与える行動を
取ることが多いのですが、
その積み重ねにより
愛情ホルモンであるオキシトシンを
調整する遺伝子の発現が増え、
より優しい人間に変っていくことが
確認されています。
このことからもわかるように
遺伝と行動は密接に絡み合っており、
どちらの影響が大きいかを判断することは
全くもって不可能なのです。
私たちは遺伝の影響を受けますが、
逆に環境や行動も
遺伝子に影響を与えているのです。
つまり、どんな人であっても、
遺伝に支配されているわけではなく、
環境や行動によって
その影響力を変化させることができるのです。
興味のある方は
『社会は、静かにあなたを「呪う」』を
読んでみて下さい。
結構面白い本です。
