ブログ:問題を数値化するということ

人は、うまくいっていることよりも
うまくいっていないことに目を向けがちです。

例えば嫁姑関係で悩んでいる
クライエントの話を聴くと、
決まって姑がいかに自分勝手なのか、
自分がどんなに頑張っても、
全然認めてくれていないのかといった話を
延々するのが常です。

しかし実際には
100%うまくいっていないというケースは稀です。
多少ならうまくいっていることもあるはずですが、
そのようなことには、なかなか目が向きません。

そのようなときに
「うまくいっていること」に目を向けてもらうための
方法のひとつが数値化(スケーリング)です。

先ずは、このクライエントに
姑との関係性の程度を数値化してもらいます。
例えば、「最悪の状態が0点で、
最高によい関係にあるというのが100点としたら
今は何点くらいの状態ですか」とたずねるのです。

それに対して「30点くらいかなあ」
という返答があったとしましょう。
この場合、クライエントは「30点しかない」
もしくは「マイナス70点の状態」という
認識を持っていることが予想されます。

そこで次のようにたずねます。
「どんなところから0点ではなくて、
30点はあると思われるんですか?」

これはクライエントに
「うまくいっていること」という言葉を
一切使わずに
「うまくいっていること」に
目を向けてもらうための質問です。

30点と言ったからには、それくらいは
うまくいっているということを
無意識レベルではわかっているのです。

この質問でそこを言語化してもらうことで
「うまくいっていること」に
気づいてもらおうというわけです。

例えば、
「週末は一緒に買いものにいっているから」
「ときどきは料理を教えてくれるから」
「お土産をあげるとすごく機嫌がいいから」
等々の答が返ってきたとしましょう。

これらはすべて
「うまくいってること」であり、
嫁姑関係を改善するためのヒントにもなります。

しかし「うまくいってることはありますか」
などとストレートに質問してしまうと
あまり考えずに「ありません」と
答えられてしまうのが落ちです。

最悪の場合、このセラピストは
私の悩みなんか全くわかってくれていない、
と思われてしまい、
信頼関係を損ねてしまうことすらあります。

その点、この「数値化」の質問は、
このような無理矢理感がないため
クライエントの抵抗という心のバリアを
うまくすり抜け、
「できていること」に目を向けてもらうことが
容易にできるのです。

また、クライエントが
問題だと感じていることでも、
数値化することで、
以外とそうではないんだということに
気づいてもらうこともできます。

例えば、ご主人に対する文句を散々言い、
「もう最悪です」などと言っているクライエントに
「ご主人は何点くらいの人ですか」とたずねると、
「60点くらいかなあ」
などといった答えが返ってくることがあります。

この点数から、
クライエントはあれこれ言いながらも、
実は結構、ご主人のことを
高く評価しているということがわかります。

答えたクライエントの方も
口からポンと出てしまった点数にびっくりし、
「主人もそんなに悪くないのかもしれませんね」
などと、へんに納得してしまうのです。

数値化するという手法は応用範囲が広く、
様々なことに利用できます。
みなさんも機会があったら是非使ってみて下さい。

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