ブログ:返報性の原理

人は、誰かに何かをしてもらうと
その人にお返しをしなければという
思いになるものです。
これがいわゆる返報性の原理、
または恩義の法則と言います。

よく例に挙げられるのが
百貨店の食料品売り場でよく見かける
試食コーナーでのやり取りです。

「どうぞ、試食してみてください」と
勧められ食べたら、
そのまま「おいしかった」と言って立ち去るのは
ちょっと申し訳ない気にもなってしまいます。

これがまさに返報性の原理です。
つまり、ただで食べさしてもらったんだから、
ひとつくらい買ってあげてもいいかな、
という気になってしまうのです。

実際、試食した結果、買うつもりがなかったものを
つい買ってしまった経験のある人は
4人に3人の割合でいるという
研究結果もあります。

先日もこんなことがありました。
東京ドームに
巨人対DeNA戦を見に行ったのですが、
その際、私は通路側から
3番目の席に座っていました。

売り子のお姉さんがいろいろ売りに来るのですが、
4番目の席に座っていた元気なおじさんが、
何度かウィスキーの水割りを買っており、
その都度、私が受け渡しをしていました。
別段、どうって言うことはありません。

ところが、試合が7回になった頃に
そのおじさんは売店につまみを買いに一度席を立ち
その後しばらくしてから戻ってきました。

すると、お酒の受け渡しで
大変お世話になりましたと、
おつまみの焼き海苔をひと袋くれました。

まさにこれなどは返報性の原理そのものです。
そのおじさんはつい恩義を感じてしまい、
私におつまみをくれたのだと思います。

それを機に、少しおしゃべりをするようになり、
おまけに巨人も勝ったので
楽しくうれしい時間を過ごすことができました。
(阪神ファンの方、ごめんなさい)

ちょうどいい程度のほろ酔い気分のまま、
帰りの新幹線に乗り込みました。
すると、そこでもまた返報性の原理が働く事件が
起こってしまったのです。

私はグリーン車に乗ったのですが、
グリーン車の場合、
よほど混んでいる場合を除いて
隣に誰か座るということはほとんどありません。
ですからいつもはゆったりと座ることができます。

ところが、その日は
途中の駅で3人の親子連れが乗ってきて、
通路を挟んで横一列に座ったのです。

つまり、母親と小さな娘さんが
A席とB席に座り、
空席がたくさんあるにもかかわらず、
父親が私の隣のC席に座ったのです。

よりによってどうして
わざわざこの席を予約したの?と、
せっかくの快適な空間に
邪魔者が侵入してきたような、
そんな、ちょっと不快な気分になりました。

空いている他の席に移ろうかとも思いましたが、
面倒くさくなり、まあいいかと諦め、
そのまま米原駅まで乗っていました。

まもなく米原に到着しますという
アナウンスがあったので、
そろそろ降りる準備をしようと席を立ったのですが、
その際も、「ああ鬱陶しかった」という思いを感じつつ
通路に出ました。

数歩歩くと、「隣の父親」が
「これ忘れていませんか?」と
窓の横に掛けていた私のジャケットを手にとって
私の方を見ているではないですか。

私は
「ああ、すみません、ありがとうございました」
と言って、そのジャケットを受け取ったのですが、
その瞬間、この人はとても「いい人だ」と
感じてしまったのです。
まさに、返報性の原理が働いた瞬間でした。

だからと言って、何かお返しを
したというわけではありませんでしたが、
忘れ物があることを教えてくれたという行為に
私は恩義を感じてしまい、
「鬱陶しい人」から「いい人」に
私の思いは180度変わってしまったのは事実です。

返報性の原理とは、人の心を変えてしまう
そんなすごい力があるのだと、
あらためて感じた一日でいた。

返報性の原理、皆さんも経験していませんか?

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