私は毎年元旦に放送される
「芸能人格付けチェック!」を
とても楽しみにしています。

なぜかと言うと、この番組を見る度に
いかに人の主観や感覚というものが
当てにならないのかが
実感としてよくわかるからです。

例えば100万円の超高級ワインと
1本5000円のワインとだったら
味や香りでどちらが高級ワインか
すぐにわかりそうなものですが、
実際には8組のうち
2組が間違えていました。

また味覚問題でも
高級フグとカエルを間違ったり、
干しアワビと冷凍イカを間違ったりするのです。

最終問題は神戸牛のサーロインステーキと
スーパーの100g620円のステーキでしたが、
これも8組中3組が安い方の肉を
サーロインステーキだと間違っていました。

このように、そのものの味を
しっかりと知っている人以外は、
味や香りだけでは
高級品も安物の区別がつかないのです。

もっとも両者の味が違うことだけは
わかるようですが、
どちらが高級品なのかとなると
わからないものです。

これは私も経験があります。
A4とA5のステーキの違いはわかりましたが、
どちらがA5なのかはわかりませんでしたし、
700円と2,900円のウィスキーを
飲み比べたときも、
どちらが4倍も高い値段の
ウィスキーなのかわかりませんでした。

美味しいか否かは好みの問題なので、
本当は正解なんてないのです。
その人が美味しいと思った方が
美味しいというだけのことです。

また、実際の美味しさは、
味覚や嗅覚、視覚だけで
決まるわけではありません。

どんなお店で食べるのか、
どれくらいの値段がするのかにより
おいしさは大きく変わってしまいます。

つまり人は頭で食べているところがあるのです。
こんな高級なお店で食べるのであれば
美味しいにちがいない、と思いながら
食べれば当然美味しく感じるのです。

医療の世界でも同様です。
料理の話のときに汚い話をしてすみませんが、
下痢や嘔吐の症状で救急外来に来る
胃腸炎の患者さんは、
診察をしたあとに点滴をしてあげると
それだけで患者さんは、
勝手によくなると思ってくれます。

実際には、単なる生理食塩水を
点滴しているだけであっても、です。
治ると思ってくれているので、
点滴が終わった頃には、
たいていの患者さんの下痢や嘔吐は
落ち着いています。

要するに「美味しいにちがいない」とか
「きっとよくなる」という思い込みが
現実を作り上げている部分があるのです。

実は、料理の美味しさに
もっと大きな影響を与えている要因があります。
それは、誰と一緒に食べるかです。

嫌な人と高級料理を食べても
少しも美味しいとは感じないでしょうが、
恋人と一緒ならばファミレスの食事でも
とても美味しく感じるというのが人の味覚です。

つまり、美味しいという感覚は
味覚や嗅覚だけではなく、
料理の見た目や店の雰囲気、
その時の気分や先入観といった要因の
トータルな結果として判断されるものなのです。

ですから私は自分から、
高級なお店に行くことはめったにありません。
楽しい仲間と一緒であれば、
大衆酒場でも十分美味しく
飲み食いができるからです。

皆さんは、いかがですか。