私たちの心は内なる声の呟きで
あふれかえっているということに
お気づきでしょうか。

「あっ、これいいかも」
「このラーメン美味しそう」という
何気ないものから、
「何で、そんなこと言われないといけないの!」
「あ~またやってしまった!」といった、
怒りや批判、後悔までいろいろです。

内なる声は絶えず呟かれているのですが、
普段は無意識レベルでの出来事なので、
ほとんど意識されることはありません。
その声に耳を傾けて聞こうとしない限り
なかなか意識には上ってこないということです。

そうかと言って、内なる声を
蔑ろにするわけにはいきません。
なぜならば、その声に従って
私たちの日常の行動や判断、
選択の大半を決めているからです。

たいていの場合、
内なる声に従って行動しても、
ほとんど問題になることはありませんが、
一方で、合理的、論理的判断に
欠けるという大きな欠点があり、
ときとして誤った判断に基づく行動に
つながることもあります。

例えば人は、誰かと出会ったとき、
「何となく感じたこと」や
第一印象といったもので、
その人を判断するクセがあります。

相手がイケメンや美人だったりすると、
その人はいい人だと
勝手に感じてしまうところがあります。

これはハロー効果と言われ、
目立つ特徴に着目して
それをもって全体を判断してしまうという
思い込みのクセのことです。

この場合、内なる声は
「この人格好いい」「なんかいい感じ」
「頭もいいかも」「スポーツも好きそう」と
内なる声の勝手なおしゃべりが始まります。

実際のところは、
色々話をしたりして、
様々な側面から総合的に判断しないと
わからないはずなのですが、
内なる声に従って「いい人」だと思って
付き合ってみたら、
とんでもない人間だったなんていうことは
よく聞く話です。

このように内なる声の判断の誤りに気づかず、
間違った行動をしてしまうことはよくあります。

また内なる声は、自分に対する評価も
しばしば間違った判断をします。

例えば仕事にせよ運動にせよ、
人は自分と他人を比べ、
どちらの方が能力は上かという判断を
知らず知らずのうちにしています。

その際、
「オレはあいつよりはうまいよな」
「周りは仕事ができないやつばかりだ」
といった内なる声が聞こえてくる人が
全体の7割もいると言われています。

実は、この7割の人は
自分の実力を過大評価しており、
「能力の低い人ほど自分を過大評価する」
という傾向があることがわかっています。
これが有名なダニング=クルーガー効果です。

能力の低い人ほど、
周りの人間は自分よりも
劣っていると感じる傾向があり、
自分の本当の実力を
わかっていないというわけです。

これなどは、
内なる声が間違った判断をしている
典型的なパターンのひとつです。

人は他人の欠点に気づいても
自分の欠点には気づけないし、
自分は公平で正しい判断をしているのに、
他人は偏見に満ちていると
思ってしまいがちですなのです。

そんな偏りを持っている自分が呟く
内なる声ですから、
自分に都合のよいことをしばしば言います。

当然それは、
正しいとは言えない判断であることが
ごく普通にあります。

「いやそんなことはない!
オレは正しい判断ができる自信がある」と
思った人は、多分7割の、
自分を過大評価している人だと
考えられます。

自分自身が自分を理解し、
適切な判断や行動を取るためには、
まずこの内なる声に耳を傾けることが
とても重要になってきます。

その上で、その声は果たして
正しいことを言っているのだろうか、
偏った判断をしていなだろうかと、
冷静で客観的な「意識」をもって
見つめなおすことが大切なのです。

実はこれは、
自分の感情をコントロールする上でも
とても重要になってきますが、
そのことについては
次回に譲ることにします。