私たちは悩んでいる人を目の前にすると
何とかしてあげたいという衝動に駆られます。
ましてやそれがセラピストのところに来た
クライエントであればなおさらのことでしょう。

もちろん、そのような思いは
悪いことではありません。
しかしときにそれが問題をさらにこじらせたり、
悪循環を生んだりすることも少なくありません。

なぜならば、何とかしてあげたいと思うあまり、
こうしたらいいとつい押しつけがましくなったり、
しばらく待つことが必要であるにもかかわらず、
それができずに、さらにクライエントを
さらに追い詰めてしまったりするからです。

そのようなことにならないためにも、
コミュニケーションで
問題を解決しようとする場合、
最初に押さえておくべき
大切なことがあります。
それは進むべき方向性を
ある程度決めておくということです。

人の悩みや問題にはさまざまなものがあり、
当然のことながら、
すぐさま解決できるような
問題ばかりではありません。

もちろんちょっとした工夫で
比較的短時間で問題が解決する場合もありますが、
嫁姑問題のように、しばらく待ち、
時期やタイミングを見て、
対処行動をとる必要がある問題もあります。

さらには結婚生活や仕事を続けるのに
とても困難を感じている場合には、
離婚や退職という選択が
問題の解決になる場合もあります。

つまり問題へのアプローチを考える場合、
それが積極的に対処すべき問題なのか、
今はじっくりと待つべき問題なのか、
離れてしまった方がよい問題なのかという、
三つの方向性を常に頭に置きつつ、
クライエントの話しを聴くことが
大切だということです。

もちろん現実の問題は、
この三つにきっちり分類されるほど
単純なものではありません。
積極的に対応しながらも
しばらく待たなくてはいけないときもありますし、
部分的、一時的に
逃げたり避けたりする必要がある場合も
当然あります。

ただ、がむしゃらに前に進めばよいわけではなく、
ときには待ったり、離れたりするということも
問題の解決には必要な場合も少ないないことを
ぜひ知っておいて頂きたいのです。

そうすれば、クライエントを
必要以上に急かしたり、
セラピスト自身が何とかしなければと
焦ったりすることも少なくなります。

その方が、少し余裕が持てるようになった分、
思いもよらない解決への道が開けたり、
ふとよいアイデアが思い浮かんだりすることも
出てくるというわけです。

ですから、クライエントと関わる場合、
この三つの方向性を常に頭の片隅に置きつつ
じっくりと話しを聴き、
最善の方向を模索していくという作業は
問題解決のためには
とても重要になるのです。