先日、68歳の女性が一週間の入院を終え、
無事施設に戻りました。
この患者さんは精神遅滞があるため
50年以上にわたり施設生活をしているのですが、
4年ほど前にがんが見つかり、
以来7回の入退院を繰り返しています。

実は、彼女は大の病院嫌いで、
検査や採血なども怖がって大暴れするので、
ほとんどできません。

しかし、将来はいつか
入院しなければならないだろうと思われるため
少しでも病院に慣れてもら目的で
うちの病院に入院するようになったという
経緯があります。

最初は外来で顔を見るだけの診察でしたが、
次第に慣れ、信頼関係もできてきたので、
今では一週間程度の期間なら
べそをかいて「早く帰りたい」と言いながらも
なんとか入院してくれるようになりました。

実を言うと、私はこの患者さんが
入院してくるのがとても楽しみです。
なぜならば、その患者さんといると
とても癒されるからです。

手には肌身離さず
アンパンマンと子熊のぬいぐるみを持っており、
会話も幼稚園生のそれといった感じで
とてもかわいらしいのです。

その一方で、
久しぶりに会った担当ナースの名前を
ちゃんと覚えているなど
驚かされる一面も持っています。

ですから回診や病棟業務などでちょっと疲れると、
その患者さんのところに行って、
たわいもない話をしてくるのですが、
それだけで疲労感が取れるから不思議です。
まさに緩和ケア病棟の
オアシスといったところでしょうか。

緩和ケア病棟に入院してくる患者さんは、
病状が深刻な人が多いのですが、
その中でも時々、このような患者さんがいると、
それだけでスタッフもホッとさせられます。

私たちは患者さんを癒すために、
日々仕事をしているという思いがありますが、
逆にスタッフが患者さんに
癒されるという部分もあるんだなということを、
この患者さんを通して
あらためて感じさせられた一週間でした。