たばこはがんや心疾患による死亡率を
高めることはよく知られています。
そのため、医者も様々な研究や調査結果を発表し、
喫煙の有害性を広く訴えています。

でも、このような論文をみていると、
みんな自分の主張に合うように
都合よくまとめているなと
感じずにはいられません。

先日も、国立がん研究センターの
ホームページを見ていると、
たばこの有害性を謳っている論文の内容が、
一般向けにまとめられて載っていました。
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/252.html

これは岩手県や秋田県、長野県、沖縄県に住んでいる
40〜59歳の男女約4万人にアンケートをとり、
その後10年間の追跡調査にもとづいて、
喫煙と死亡率の関係を調べたものでした。

その結果は、たばこを吸う人の死亡率は、
吸わない人と比べて男性は1.6倍、女性は1.9倍
だというものでした。

この記述だけをみると、
確かにたばこを吸うとがんや心疾患の
死亡率が高くなることが一目瞭然であり、
やはりたばこは命を縮めると思ってしまいます。

ところが、もとの論文を取り寄せ読んでみると、
いかに著者の意図するところを伝えるために、
都合のよい表現を使っているかがよくわかりました。

実はこの論文の内容は以下のことと
全く同じことを言っています。つまり、
「たばこを吸う男性の死亡率は6.4%で、
吸わない人の死亡率は4%、
女性の場合は4.0%と2.2%であり、
その差は男女ともに約2%しかありませんでした」

または
「たばこを吸っていない男性の生存率は96.0%で、
吸っている人の生存率は93.6%、
女性の場合は97.8%と96.0%であり、
その差は男女ともに2%程度に過ぎませんでした」

これらを読む限り、
喫煙の影響を受けるのは100人中2人程度で、
たばこを吸っているか否かは
死亡率や生存率にはほとんど関係ない
という印象を持つのではないでしょうか。

このように統計データの見せ方いかんで、
言うべき内容の印象は
正反対になってしまうのです。
これが統計のマジックです。

たばこを吸うか吸わないかの死亡率の違いが
1.6倍や1.9倍に増えると言われたら、
やっぱりやめようかという気にも
なるかもしれませんが、
その差がほんの数%だと言われたら、
あえばやめなくてもいいかという気にも
なってしまいます。

つまり、統計を使ったデータ解析は
著者の意図によって、結果を
肯定的にも否定的にも表現できてしまうのです。
統計や数字のデータはごまかしのきかない
絶対的なもののように思われがちですが、
表現の仕方いかんで、
どうにでもなってしまうという
とても操作的なところがあるのです。

「データを見てわかるように、
A薬はこんなに有効性が高いです」とか、
「B療法はこんなに危険性が高いです」
といった発言や文章に出くわしても、
実際の効果や危険性は、その逆ということも
しばしばあるということです。

皆さん、数字や統計には
騙されないように気をつけましょう。
(ちなみに、私はたばこを吸いません)

参考(調査結果)
男性
喫煙・生存10,085人、
喫煙・死亡646人
喫煙なし・生存4,635人
喫煙なし・死亡184人

女性
喫煙・生存1,194人、
喫煙・死亡50人
喫煙なし・生存19,497人
喫煙なし・死亡439人