以前、コートを買ったことがあったのですが、
その時なぜか、
自分の意に反したコートを買ってしまいました。
いや、お店の人の意に添ったコートを
買わされてしまったと言うべきでしょうか。
今思い出しても、見事だと思います。

私は服装にはこだわりがなく、
また高い服も買うことがありません。
そのため、まともなコートがなく、
寒い冬を過ごしていたのですが、
出かけるためには、
まともなコートのひとつくらいないといけないと思い、
ついにコートを買うことを決意し、
家の近くの「青山」に行きました。

私は、ベージュや薄手の色のコートを
買おうと思っていたのですが、
お店に入り、コートを見ていると
店員さんが来て「コートですか」と聞かれたので、
「はい、薄手の色のコートがほしいんですが」と言うと、
まず最初に、私に見せてくれたのが、
なんと、真っ黒なコートではないですか!

私の希望と真反対の色のコートでしたが、
ぱっと見は、
しっかりとした素敵な印象のコートでした。
「コートと言えば黒が定番ですので、
こんなのも一着持っていてもよいかなと思います」
との説明でした。
しかし値段を見るとなんと、
なんと3万円以上もするものでした。
スーツですら、そんな高いものを
買ったことのない私にとっては、
3万円というのは驚きの値段でしたが、
印象には残りました。

その後は、私の希望していた
ベージュ色や白っぽい色のコートを
見せてくれたのですが、
最初の黒のコートに比べると、
どれも見劣りのするものばかりでした。

何着か見せてもらったのですが、
最初に見せられた黒のコートのインパクトが強く、
どうしてもそこから離れられませんでした。
結局、その黒のコートを買うことになったのですが、
その後「二着目のコートは半額になりますがいかがですか」
と言われましたが、
コートは一着でよいと思っていたので、
それは断りました。

そんなわけで、自分の意に反する
黒いコートを買ってしまったのですが、
後から考えると、お店の人は
最初から高価なコートを買わせようと思い、
あのような勧め方をしたのではないかと思うのです。

最初に気に入りそうなものを見せると、
その印象が強く残り、
なおかつ、「黒が定番です」などと言われたら、
色やファッションには自信のない私にとっては、
やはり、見た目や言葉に
引きずられてしまったのではないかと思うのです。

今回は、見事に心を操作されたという感じでしたが、
その一方で、よい買い物ができたという
思いもあるので、悪い気はしませんでした。
人の心とは、相手の言葉や見せ方いかんで
何もでも変わることを
身を以て体験させられた気がしました。