原因がわかっても問題の解決にはならない

悩みを抱えている人に対して、
傾聴や受容・共感だけでは問題は解決しません。
もう一歩進んだアプローチが必要です。
そこで重要になってくるのが 適切な質問をする ことです。

その際大切になってくるのが、
「何でうまくいかないんですか」といった、原因を探るような質問をするのではなく、
「どんなときにはうまくやれていましたか」といった、
「できていること」に焦点を当てた質問をするのがポイントです。

例えば、最近、ご主人とのコミュニケーションがあまりうまく取れず、
喧嘩ばかりして困っているという問題を抱えている女性(妻)がいたとしましょう。
その際「なぜ最近はうまくコミュニケーションが取れないんですか」
とたずねてしまうことが多いのですが、
実はこうした「原因」を探るような質問をしても、問題の解決には役立ちません。
それはなぜかと言うと次のようなことが起こるからです。

例えば、この質問に対して
「旦那が自分の話を聴いてくれないから」「私もすぐに怒ってしまうから」
といったような答が返ってきたとしましょう。
ならば、それを変えれば問題は解決するのでしょうが、
しかし実際は、ご主人が話を聴いてくれるようなったり、
すぐに怒ってしまう自分の性格を変えることなどできないのです。
もしできるのであれば、そもそもこのような問題など起こっていないでしょう。
人はそう簡単に変わることなどできないのです。

また場合によっては、原因を探るような質問をすることによって、
かえって問題を広げてしまったり、相手をより落ち込ませてしまうこともあります。
なぜならば、何が原因なのかをたずねることで、
必ずお互いの欠点や問題点をさらにほじくり出すことになってしまうからです。

つまり、心や考え方が原因だと思われるような場合には、
原因を探るような質問をしても、
たとえそれが原因だとわかったとしても、そう簡単に心を変えることなどできないため、
結局は問題の解決にはつながらず、
逆に、問題を複雑にし、相手を落ち込ませてしまうことにもなりかねないというわけです。

「できていること」に目を向ける

そうではなく、「できていること」に目が向くような質問 をするのです。
例えば「今まででどんなときにはご主人とうまくコミュニケーションが取れましたか」
といった質問をするのです。
すると〈そんなことってあったかなあ・・〉と考え込みながらも、
過去において、うまくコミュニケーションが取れたときのことに思いを巡らします。
すると、ふと、
「そう言えば、以前一緒に居酒屋に行ったときがあり、その時は普通にしゃべりました」
「サザエのつぼ焼きを夕食に出したときがあったんですが、その時は嬉しそうでした」
といった答が出てくるのです。
まさに、これが 「問題解決のヒント」 になるのです!

つまり、このような質問に答えながら
〈外で一緒に飲んだり、主人の好きなものを買ってきたりしたときには雰囲気がよかったなあ〉
と気づけるのです。
いったん解決のヒントが意識化されると、何かのきっかけに、
ふとまた、そのような思いが出てきやすくなり、
それが、時には居酒屋に行ったり、ご主人の好きなものを買ってくるといった行動に
つながることになるのです。
このような「ほんの小さな変化」 の積み重ねが、
問題解決のための重要な過程になるのです。

無意識を活性化させる「質問」ができるか否かがカギ

このように、「できていること」に目を向け、
それを引きだすような質問を繰り返すことにより、
問題解決のためのヒントや可能性に気づくことができるようになります。
これらは全て無意識の中に隠れていた答であり、
それを引きだすような質問をすることで 無意識が活性化 され、
それが、人の行動に変化をもたらすのです。

このように、どのような質問をするかによって、その後の結果が全く異なってきます。
つまり一方は解決に向けて動きだし、一方は問題をさらに広げてしまうというように、
「質問力」 の違いによって全く正反対の結果をもたらすことにもなるのです。
その意味でこのような「質問力」があるか否かが
問題解決のカギになると言っても過言ではありません。

このホリスティックコミュニケーション実践セミナーは、
まさに、この「質問力」を身につけることを目的としたセミナーなのです。
もちろん、問題を解決するためには「質問力」のみならず、
「傾聴力」「反応力」「提案力」といった力も必要になってきます。
これらの力も同時に身につけ、
仕事や家庭、人間関係の問題等に役立てて頂けたらと思います。

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