ブログ:「何もしない時間」の大切さ
先日、ジョセフ・ジェベリ著、
「何もしない時間」(かんき出版)を
読みました。
私も若い頃はそう思っていましたが、
何もしない時間は無駄な時間であり、
寝る間を惜しんででも
勉強や仕事をした方が価値があると
思っている人も多いのではないでしょうか。
ところが実際はそうではありません。
脳の機能を最大限に活かすためには
何もしない時間がとても重要であり、
そのことについて書いているのが本書です。
何もしない、つまり
「ぼーっとしている安静状態」のときに
働くのが
「デフォルト・モード・ネットーク」
(DMN)です。
1970年代にある神経科学者が、
脳は知性や集中力を必要とする
仕事や勉強をしているときよりも、
何もせずに休んでいるときの方が
よりエネルギーを必要とすることを
発見しました。
この一般常識に矛盾するような事実こそが
まさにDMNの存在を示すものだったのです。
一方、人の脳には
DMNと正反対の機能を持つ
セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク
(CEN)も存在しています。
これは目標の達成や
高次の認知機能を要する作業を担う
ネットワークであり、
仕事のネットワークとも言える存在です。
CENが働いているときは
DMNは抑えられ、
逆にCENの活動が低下すると
DMNが活性化するという
関係性が成り立っています。
仕事が一段落ついたから一休みしようと思い
スマホを手に取る人も多いと思いますが、
実はこれは全く休憩にはなりません。
脳には「新奇性バイアス」があり、
新しいものに出会ったり
通知を受け取ったりするたびに
ドーパミンが脳内に放出されます。
その結果、メールやYouTubeなど
次から次へとスマホを使い続けることになり
これはCENを使い続けることになるからです。
逆に脳は、
ぼんやりするほど冴えてくるという
側面があります。
ボーっとしている間、
ほとんどの人はとりとめのないこと、
過去の出来事や思い出、友人の顔など
あれこれと浮かんできます。
これはマインドワンダリングと呼ばれ、
私たちは起きている時間の実に
25~50%はこれに費やしています。
このマインドワンダリングには
DMNが重要な役割を果たしていることが
わかっています。
人は困難な問題に取り組んでいるとき、
一時的に意識を離すことで、
突然ひらめきや解決策が
思い浮かぶことがあります。
これは集中している作業から離れ、
DMNが働き始めることで
それまでとは異なる方法で
情報を求めるようになった結果、
突然、創造的洞察力が生まれるからです。
また、
一人で何もせずに過ごしているときには、
DMNが活性化されるため、
脳は自由にさまよい
様々なことについて思いを巡らします。
その結果、脳は過去の
全く異なる考えを探しだし、
それを今の考えと結びつけてくれるため
ひらめきが生まれるのです。
以前は、
私たちは一人になったときには
ボーッとして過ごすことが
ごく普通にありましたが、
スマホの出現により
その機会は奪われるように
なってしまいました。
これは脳の働きの側面から見ると
由々しき事態なのです。
先ずは1日10分でもいいので、
誰にも邪魔されない静かな場所で
一人で何もせずに
ぼーっとしている時間を持ってみませんか。
思わぬアイデアが
浮かんでくるかもしれませんよ。
