ブログ:死んでいる人の心臓が‥!?

とにかく驚きました!
死んでいる人?の心臓が動いていたんです!
こんな体験は40年の医者人生で初めてです。

ことの顛末は以下の通りです。

緩和ケア病棟で
患者さんの呼吸が止まったので
死亡確認をして下さいという連絡を受け
病室に行きました。

通常、呼吸が止まっても
5分程度は心臓が動いているので
呼吸が完全に止まって
10~15分くらいしてから
死亡確認をするようにしています。

今回の場合、呼吸が止まってから
20分ほど経っていたので
当然、もう亡くなっていると思いました。

死亡確認は死の三兆候、
つまり瞳孔散大、呼吸停止、心停止が
確認できれば死亡と判断できます。

先ずは瞳孔です。
瞳孔が開いているのを確認し、
ペンライトを使って、
瞳孔を照らし対光反射がないことも
確認しました。

次に呼吸停止ですが、
これは見れば明らかです。

家族も20分くらい前から
呼吸はしていませんと言っていました。

最後は心停止の確認です。

緩和ケア病棟では
心電図モニターといった機械類はないので、
心停止の確認は、胸に聴診器を当て、
心音が聞こえないことを確認すれば
それでよいのです。

患者さんの胸に聴診器を当てると
「???」

小さい音ではありましたが、
何やら心音らしきものが
聞こえるではないですか!
それも規則正しく打っている音が‥

心臓も酸素がなければ動かなくなります。
呼吸が止まって20分以上経っている段階で
心臓が規則正しく動いているなんて、
通常はありえません。

一緒にいたナースにも
確認してもらいましたが
確かに音は聞こえるというのです。

私の耳はあまり当てにならないと思い、
ここは実際に心電図を取って
確認することにしました。

検査室の人が来てくれて
死体(のように見える人)の手足に
電極をつけ心電図を取り始めました。

すると、やはり心臓は動いていたのです!

鼓動は弱いものの、
生きている人と同様の
規則正しいリズムの波形が
しっかりと見て取れました!

検査をしてくれた女性は
「ちゃんと動いていますね」と言いながら
思わず吹き出していました。

あまりに信じられないことがあると
人は笑い出すものなのです。

周りにいる家族も驚いており、
「いや~ばあさん、心臓強いなあ~」と、
これまた笑いながら言っていました。

心電図を取ったときは
呼吸停止からすでに30分が
経過していました。

心臓が動いているのに
死んだとは言えないので
もう少し待つことにしました。

さらに15分程度経ってから
再度、聴診しました。

先ほどよりも心音は小さくなり、
60回/分程度であった心拍数も
40回/分程度にはなっていましたが、
確かにまだはっきりと
「トクッ、トクッ‥」という音が
まだ聞き取れました。

この段階で少なくとも
呼吸停止してから45分経っています。

結局、そこからさらに30分待ち、
再再度、聴診をしたところ
ついに心音は聞こえなくなりました。

この段階で初めて、
「ご臨終です」とお伝えし、
ようやく死亡確認ができました。

このエピソードを
何人かの医者に話をしましたが、
皆さん「いや~そんなことあるんですかね」
と言いながら笑っていました。

常識では考えられないことが
ときとして起こることもありますが、
それを再認識させられたエピソードでした。

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