ブログ:三種類のウソ~嘘と大嘘、そして統計

先日は大学の授業で
数字にまつわる
認知バイアスの話をしました。

人は数字を使うと
いかに簡単に騙されるのか、
このあたりを扱った認知バイアスを
まとめてみました。

まずは有名なフレーミング効果です。

「術後の生存率が90%の手術」と言うと
82%の人が受けると答えますが、
「術後の死亡率が10%の手術」と言うと
手術を受ける人は54%に減ります。

つまり同じ内容のことでも
説明の仕方いかんで
判断が正反対になる可能性が
あるということです。

死亡率10%と言われると、
どうしても死ぬ可能性を意識してしまうため
たとえ生きられる可能性が
90%だとわかっていても
手術を避ける人が多くなってしまうのです。

また、
「抗癌剤の効く率(奏効率)は20%です」
という表現も認知バイアスを
うまく利用しています。

医者からこのような説明を聞くと
多くの患者さんやその家族は、
この抗癌剤を受けるとことにより
20%の人はがんが治ると錯覚します。

ここには通常、医療者しか知らない
言葉の定義にトリックがあります。

「奏効率」などという専門用語を
一般の人はほとんど知らないので、
通常は「有効率」とか「効果がある率」と
言い換えて説明する場合が多いと思いますが
決して「治る率」とは言いません。

なぜならば、
抗癌剤治療でがんが「治る」ことは
一部のがんを除いてまれだからです。

たとえ治らないまでも
それなりの延命効果があれば
有効だと思っている人も多いと思います。

しかしここでも
一般の人が思っている「有効」と
医者の思っている「有効」の意味には
大きな開きがあります。

医者が言う「有効」や「効果がある」は、
「1ヶ月の間、がんが30%以上小さくなった」
ことを意味します。

つまり「1ヶ月」の状態だけをみて、
効いたか否か判断しているのです。

裏を返せば、
1ヶ月が過ぎて再び大きくなり、
結局2ヶ月後には亡くなったとしても
この抗癌剤は「有効」であったと評価され、
統計上、この患者さんは「20%」の中に
含まれることになります。

一般の人からは詐欺だと言われても
文句は言えないでしょう。

しかし、統計を利用することで、
もっと詐欺的な表現をすることができます。

例えば、
ファイザー社のコロナワクチンは
感染予防効果は95%と言われており、
実際のデータとともに
厚労省のホームページにも載っていました。

しかし実際の感染予防効果は1%未満でした。

詳細については
以前のブログでも書きましたので
ここでは省略しますが、
95%も1%未満も
統計学的には両者とも
正しいことを言っています。

もう少し正確に言うと、
「絶対リスクは1%未満」であり
「相対リスクは95%」という
表現になります。

これまた一般の人は
全く意味がわからないでしょうし、
簡単な算数で答えはすぐに出るのですが、
数字アレルギーの人にとっては
それすら見ることはないと思います。

そうなると結局、
言われたままの数字を信じ、
感染予防効果は95%あるんだと
錯覚してしまうのです。

実際、ファイザー社が発表した
95%有効という説明は誤りだとして
米テキサス州がファイザー社を提訴しました。

このように統計を使ったトリックは
いたるところに見られます。

皆さんも数字にごく普通に騙されているので
お気を付け下さい。

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