ブログ:精神医療の裏話

先日の精神医療の授業では
一般的には普段はあまり語られない
精神医療の裏話を中心に話をしたところ
これが思いのほか好評でした。

最初に、
「なぜ精神疾患の患者が増えたのか」
という問いを皆さんに投げかけてみました。

すると結構、
的を射た答えが出てきていたので、
現実の闇の部分のことを
皆さん薄々感じているのかなと思いました。

精神疾患が増えた原因は
いろいろあると思いますが
その根底に流れる問題は
以下の三点に整理できます。

精神疾患の診断がしやすくなったこと、
一般開業医が抗うつ剤や抗不安薬を
安易に出すようになったこと、
製薬企業のキャンペーンにより
一般の人がうつやADHDではと思い、
クリニックを受診することが
多くなったことです。

精神科や心療内科において
うつ病や不安症といった精神疾患の
診断をつける場合、
DSM(精神疾患の診断・統計マニュアル)の
診断基準が主に使われます。

DSMは1952年に初版が出版され、
以来版を重ね、現在は2022年出版の
DSM-5-RTになっています。

実は、この診断基準が
正常の人を精神疾患と過剰診断する
「診断インフレ」を起こし、
大量の精神疾患患者を生み出す
きっかけになってしまったのです。

例えばこの本に書いてある
診断基準の症状をチェックすれば
うつ病や双極症といった診断が
簡単にできてしまうのです。

それまでは精神疾患の診断は
その分野の専門である
精神科がするものと決っていました。

ところが、
SSRIという新しいタイプの抗うつ剤が
発売されると同時に、
製薬会社はDSMの本を医者に無料配布し、
一般の開業医でも抗うつ剤が処方できるよう
積極的に働きかけたのです。

ほとんどの医者は、薬についての情報を
製薬会社のMR(医薬情報担当者)から得ます。

MRはデータやグラフ満載の資料を提供し、
その薬がいかに有効性が高いのかを説明し、
病院やクリニックで採用してもらえるように
働きかけます。

当然、そのデータを信じ、
そんなにいいものなら
採用してもいいかなと思い、
多くの場合、新薬を採用することになります。

実はそのデータも怪しかったりするのですが
要はこのようにして
医者は製薬企業に巻き取られ、
どんどん新薬を使うようになったのです。

さらに、
「うつは心のかぜです」という
キャンペーンを大々的に実施し、
うつ病という診断への敷居を下げ、
気楽に開業医に行けるようにしました。

また「もしかしてあなたも○○かも」と
国民の不安を煽る宣伝をし、
「お医者さんに相談を」と言って
受診を促す「疾患啓発」も
盛んに行なわれました(今もしています)。

その結果、うつ病患者は急速に増加し
抗うつ剤の売り上げも8年間で
10倍になりました。

製薬企業も利益をあげ、
競争を勝ち抜いて生き残らなければ
いけないこともよくわかります。

なおメタサイエンスという分野の活動により
不正や再現性に乏しい論文が
かなりあることもわかってきました。

(詳細は以下のブログをご参照下さい)
あなたが知らない科学の真実
科学論文が信頼できない理由
なぜ信頼性のない論文が量産されるのか
科学論文の過失や誇張の問題

そのような、
もしかしたら信頼性のない論文を根拠に
抗うつ剤の有効性が宣伝され、
売り上げを延ばしている可能性が
あるのです。

今なお病院でMRが積極的に
医者に説明をしている姿を見る度に、
なんとも複雑な気持ちにさせられます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください