ブログ:末期がん患者が海外旅行?
4月から再び大学の授業が始まりました。
昨年はすべてが初めてであり大変でしたが
今年は昨年の経験がある分、
少しはましです。
ただし昨年はなかった
「精神医学」の授業をすることになり
少々戸惑っています。
なぜならば私は心療内科医であり、
精神科医ではないので
精神疾患はほとんど
診たことがないからです。
ですから今年になって
精神科のテキストや参考書を購入し
講義用のスライドを作るために
勉強しました。
でも正直言って面白くありません。
単に教科書に書かれていることを
しゃべるだけなら誰でもできるからです。
本当であれば、
自分の経験した患者さんの実例を出しながら
その患者さんの治療をどう考え、
どのような対応をしたのかを
話したいのです。
しかし、
精神科の患者さんを診た経験は
わずかしかないため、
そのような話をするのも限界があります。
ではどうしたらいいのかと考えた末、
精神科医療の闇の部分の話なら
できるのではと思い立ちました。
なぜうつ病患者が突然激増したのか、
なぜ新しい精神疾患が増えたのか
そもそも抗うつ剤は効くのか等々、
あまり表には出てこない闇の話なら
それなりにできるので
その辺のことを一度まとめて
話しをしようかと思っています。
もうひとつ同時並行で
「緩和医療と心の治癒力」の授業も
しています。
昨年は、最初に心の治癒力や
認知バイアスの話をしすぎて、
全然緩和ケアの話が出てこないと
苦情?が出ました。
私としては
すべて緩和ケアとつながっている話を
しているつもりでしたが、
やはり、緩和ケアの話をしてから
心の治癒力などの話をすればよかったと
反省しています。
そこで今年は
しっかり緩和ケアの話から入りました。
緩和ケアのことを
全く知らない学生もいるため、
できるだけ興味を持ってもらえるように
問いを取入れながら話を進めました。
例えば、
末期がんの患者さんが「できること」は
次のうちどれでしょう、といった問題です。
①家の中で普通に生活すること
②自転車や車の運転をすること
③海外旅行に行くこと
④上記のどれでもない
一番多かったのは
①の「家の中での生活」で約50%でした。
次に多かったのは
④の「すべてできない」で約40%、
残りの10%程度が②と③でした。
正解は③海外旅行に行くこと、です。
実際、今年に入ってハワイに行った
患者さんがいました。
皆さん結構、驚いていました。
末期がんというと
寝たきりで食事もできないような
イメージを持つ人が多く、
確かに緩和ケア病棟に入院する患者さんは
そんな人が多いのは事実です。
しかしその状態は
末期がんの「末期」の状態であり、
末期がんの初期の段階では
普通の人とあまり変らない患者さんが
たくさんいます。
また、緩和ケア病棟で許されるのは
次のうちどれでしょうという問題も
出しました。
①飲酒 ②喫煙 ③ペットの持ち込み
答えは①③ですが、昔は②もOKでした。
時代が変り、
敷地内禁煙になってしまったため
緩和ケア病棟での喫煙も
できなくなってしまったのです。
患者さんと宴会をしながら
一緒にお酒を楽しんでいる写真を見せると
皆さん驚くと同時に、
緩和ケア病棟のイメージが変ったと
言っていました。
あれこれ工夫をしながら、
これからの授業も
楽しんでやりたいと思っています。

私が親しくしている方も、3月に末期癌のお姉さんと二人でハワイに行かれました。
もう5年くらい前から、末期癌だからこれが最後の海外旅行だ、と言って毎年行かれています(笑)
本当に「末期」って、何なのでしょうね?
知人もハワイから帰って、リフレッシュしたと爽やかな表情でした。
よかったな〜と私も嬉しくなりました。