ブログ:生成AIの子供への影響
先日紹介した本の他に
もう一冊生成AIに関する本を
読んでみました。
それが川原繁人著
「言語学者、生成AIを危ぶむ」
(朝日新書)です。
現在、子供に対しても
おしゃべりアプリが開発され、
実際ベネッセが、
AI「しまじろう」の開発を発表しています。
子供(特に乳幼児)に対する
おしゃべりアプリの使用は
言語獲得に役立つのだろうかという疑問から
著者はこの本を書いています。
そもそも赤ちゃんはどうやって
言葉を学ぶのでしょうか。
私たちは、
言葉を聞いて学んでいると
思いがちですが実は違います。
実際、アメリカ在住の
生後9ヶ月の赤ちゃんに、
中国語を聞かせるという実験があります。
結論を言うと、
実際に中国語を話す人と交流すれば
中国語を学習することができます。
しかし、音声だけを聞かせたり、
録画した動画をテレビで見せたりしても
ほとんど言語は習得できないことが
わかりました。
このことからもわかるように
言語の習得に必要なのは
養育者とのつながりなのです。
特に大切なのが「随伴性」です。
これは、幼児が楽しそうな声を出したとき、
「楽しいね!」と発声するなど、
乳幼児の発声や行動に対して
相手がすぐに反応してくれるという
意味合いの言葉です。
母親の随伴性が高いほど、
言語発達にも好影響を与えることが
多くの研究でわかっています。
つまり、赤ちゃんの脳は、
養育者とのつながりや反応を通して
成長していくのです。
その意味では、
親がスマホに気を取られ、
赤ちゃんとの随伴的応答の機会を逃すのは
よくありません。
ただし動画からは
学べないというわけではなく、
3歳以上になれば、
録画された動画からだけでも
新しい動詞を学ぶ事ができるようになります。
また人の話し言葉と
生成AIの言葉とでは
大きな違いがあります。
赤ちゃんは音声的な語りかけを通して
言語を学んでいきます。
一方で生成AIが使っているのは
書き言葉であり、
インターネット上のテキストデータです。
皆さんは、
現在の生成AIは音声で反応しているように
思うかもしれません。
しかしあれは生成された文章を
読み上げているにすぎず、
学習に使われているデータは
あくまでも「書き言葉」がメインです。
つまり人と生成AIの言葉には
音声か文字かという
根本的な違いがあるのです。
さらに、生成AIには
身体性や五感が欠如しているという
問題もあります。
赤ちゃんの発達には
五感を通しての体験が
とても重要なのですが、
生成AIには音声や画像に限られます。
しかも人間のように、
音の高さの変化だけで
複雑な気持ちが込めるようなことは
生成AIにはできません。
また表情やジェスチャーといった
非言語的情報を生成AIは提供できません。
そう考えると、
AIおしゃべりアプリには
①感情を乗せた人間的な声・抑揚の欠如、
②目線・触覚を含めた随伴性の欠如、
③特定の養育者との愛着が築けない
といった限界があることがわかります。
著者は総合的に考え、
少なくとも未就学児(六歳以下)には
生成AIは与えない方がいいと
結論づけています。
なおOpenAIのCEOである
サム・アルトマンが
「自分の息子には、対話型AIと
親友になって欲しくない」と述べています。
開発者は皆、
よくないということを知っていて
開発しているんですね。
