ブログ:傾聴力を高める

10月から大学での後期授業が
本格的に始まりました。

前期は主にスライドを使って
授業を進めたため準備も大変でした。

後期はコミュニケーションの授業であり、
私が長年やってきたセミナーの内容を
学生向きに焼き直して
授業としてやっているのでとても楽です。

毎回、A4の用紙1枚にレジュメをまとめ
それに基づいて30分ほど講義をします。

残りの時間はすべてワークに当てるという
授業の組み立てになっています。

1回目は自己紹介、
2回目はホリスティックコミュニケーションに
ついての話でしたので、
最初の二回はワークはありませんでした。

3回目の授業から
コミュニケーションの実際の話になり
ワークも入れました。

初回は「傾聴力を高める」でした。

先ず始めに、
傾聴に対する誤解や問題点について
簡単の話をしました。

通常、ただ単に話を聴いて欲しいと
思っている人に対しては、
傾聴するだけでことはすみます。

その一方で、
「どうしたらいいか教えて欲しい」と
思っている人に対しては
傾聴するだけでは当然不十分です。

そうかと言って、
何かしらのアドバイスをしたところで
ほとんどの場合、何の役にも立ちません。

つまり、こういう人には
傾聴するだけではどうにもならないのです。

ではどうすればいいのか?
それについては、
この授業で詳しくやっていく予定です。

もうひとつ傾聴で
誤解されていることがあります。

それは、ネガティブなことを
延々言い続ける人の話は
傾聴し続けてはいけないということです。

ある程度の話は聴かないといけません。

しかしいくら聴き続けても
ネガティブな話しか出てきませんし、
聴けば聴くほど
より一層ネガティブな思いを
強化してしまうだけなのです。

つまり、ネガティブな話ばかりする人は、
傾聴することが全くの逆効果に
なってしまうのです。

次に傾聴の実際についての話をしましたが、
ここで大切になるのが「共感」です。

ただし、ここでの共感には
二つの種類があります。

ひとつは情動的共感であり、
もうひとつは認知的共感です。

情動的共感とは、
一般的な意味での共感であり、
そこにはうれしさや悲しさといった
感情の動きが伴います。

一方の認知的共感はそうではありません。

相手の話を聴き、
「この人はそう思っているのか」
「そのような考え方をしているんだな」と
客観的に受け止めながら聴くというのが
認知的共感です。

そこには一切の価値観が入らないので
気持ちが揺さぶられたり、
怒りや反発、疑問を感じることもありません。

認知的共感は
「誰もが高校くらいは行くべきだ」
というような、
全面的には共感しにくい話が
出てきた場合に必要になる共感の仕方です。

この共感の仕方をする限り、
相手の価値観に反応したり、
左右されることなく、
冷静な視点を持って
相手の話を受け止めることができるのです。

そんな講義をしたあとワークをしました。

傾聴とは「話を聴く」ことだと
誰でも知っていますが、
実際にやってもらうと
「話を聞き流す」になっていることが
しばしばです。

話を聴いたあとで
その話を要約して返すということを
してもらうと
いかに自分がちゃんと聴いていなかったが
よくわかります。

学生にとっては
「たかが傾聴、されど傾聴」といった
ところでしょうか。

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