ブログ:偽善医療

先日、面白い本を読みました。
藤井聡、木村盛世著、
「偽善医療」(産経セレクト)です。

結構はっきりと今の医療の問題点を
指摘してくれています。

もっとも、それは少々言い過ぎではと
思うところもありますが…

この本では日本医師会が
諸悪の根源だと言っています。

地方の開業医を束ねる医師会が
自民党に2億円という
多額の献金をしているからこそ
自民党は医師会に何も言えないという構造が
日本の医療システムにはあります。

そのため日本における医療分野の力関係は
医療業界・医師会が最上位にあり、
その下に財務省や厚労省があり、
一番下に一般国民がいるという
構図になっています。

また、医者が過剰医療を行なうことで、
医療費だけが不条理に肥大化するのも
大いに問題だと言っています。

日本は国民皆保険のお陰で、
どんなときでもすぐに医療機関に
かかることができます。

そのためちょっと熱が出たとか
咳やくしゃみが出て風邪気味と
いった程度で開業医を受診する人は
少なくありません。

「何かあったらすぐに病院へ」は
日本医師会が広げてきた
キャンペーンによって構築されました。

とにかくたくさんの患者さんに来てもらい
たくさんの検査をし、
たくさんの薬をだすことで儲けないと
開業医も仕事になりません。

実際、数日で症状が治まるような
風邪やインフルエンザで
医療機関にかかるのは
日本くらいのものです。

国民皆保険の趣旨は、
全国民が平等に
医療機関を受診する機会を持つことであって
「行きたいときに好きなだけ行く」ためでは
ないのです。

また、「風邪には抗生剤」という
悪しき習慣を構築したのも日本医師会です。

昔は医薬分業が進んでおらず、
値段の高い抗生剤を使うことによって
自分たちの収益を増やすことができたため
不適切な抗生剤の投与が盛んに行なわれました。

さらにがん検診も過剰医療の典型と
言われています。

がん検診に対する有効性の研究は
海外では行なわれていますが、
それによると1年以内毎にがん検診を受けても
寿命が延びるという科学的根拠はないという
結果が出ています。

特に不要と言われているのが
毎年、健康診断で
胸のレントゲンを撮るという
肺がん検診です。

もとは結核検診として行なわれてましたが、
いつの間にか肺がん検診になりました。

多くの研究で
毎年レントゲンを撮っている人と
取っていない人の
肺がん死亡率を調べてみると
ほとんど違いしかないという
結果が出ています。

そのため欧米では肺がん検診として
胸部レントゲン写真を撮ることは
推奨されていません。

このような不要な検査により
過剰診断、過剰治療という問題を
生み出しているのです。

症状のない人に検査をすれば
そこには誤って診断される可能性(擬陽性)が
かなり高くでます(ベイズ理論)。

擬陽性により
不要な再検査を受けさせられるはめになり、
結果が出るまでの不安感という
ストレスの問題も指摘されています。

ですから本来は
症状のない人は検査をしては
いけないのです。

にもかかわらず国や地方公共団体は
未だにがん検診を積極的に
推し進めているのです。

このような過剰医療による
無駄遣いがあるからこそ、
医者は儲けることができるというわけです。

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