ブログ:スピリチュアルって?

(前回から続く)
もともと彼女はヨガに興味があり、
1年ほどインドにも行っていたようで、
生まれ変わりも信じていました。

ですから自分が死ぬことに対しても
あまり恐怖感は持っていないようでした。

実際、大出血をして
このまま放置したら死ぬと思いながらも
その日は眠りについたというのですから
死に対する恐怖心は少ないと思います。

一般的に死んだら終わりだと思っている人は
死にたくないという思いに引きずられるため
死への恐怖を強く感じる傾向にあります。

一方、死後の世界があるとか、
生まれ変わってくる、
死んだら先に亡くなった親や子どもに
会えるとった思いを持っている人は
死ぬことに喜びすら感じる人もおり、
死への恐怖は明らかに軽減します。

実際にあの世や生まれ変わりが
在るか否かは別にして、
それがあると思える人は、
死に際でも心の安寧を保つことができると
私は思っています。

そんな死生観を持っている彼女は、
スピリチュアルな思いを
持っている人でもありました。

実は「スピリチュアル」には
はっきりとした定義がありません。

スピリチュアルのどの側面を見るかにより
人によって定義が全く異なるのです。

例えば、「超越的な力や存在と
つながっているという感覚」と
言う人もいれば、
「生かされているという感覚や
身近な物事への畏敬の念や感謝」だと
言う人もいます。

さらに、
「人生の危機に直面したときに
生きている意味や目的を
見出そうとする働き」とか、
もう少し一般的な感覚をも含め、
「受容、執着しない、許す、無償の愛、
慈悲の心」などもスピリチュアルな感覚だと
言う人もいます。

このようにスピリチュアルの定義は
あってなきようなものなのであり、
皆さん好き勝手なことを
言っているというのが私の印象です。

なお緩和ケアの分野では、
外的存在や内的存在とのつながりという
表現の仕方をすることがあります。

外的存在とのつながりとは、
超越的存在、絶対的存在、大自然、
宇宙の意思、神仏、サムシング・グレートと
私たちはつながっているという感覚です。

また内的存在とのつながりとは
内なる叡智や究極的自己が
自分の中には存在しており、
それが自分の存在の意味や目的、使命や役割
人生観、価値観に気づかせてくれるという
意味合いで使います。

いずれにせよ、
超現実的な感覚とつながっているといった
イメージです。

さて、彼女のスピリチュアルな側面に
話を戻しましょう。

彼女は、あるときこんなことを言いました。

「この子は私に何かを
伝えようとしているんです」

この発言にはびっくりしました。

第一に、子宮がんを「この子」と
表現したことです。

通常の人は、がんを憎むべき敵と感じ、
だからこそ手術で「切除」したり、
抗癌剤で「殺し」たりするのです。

「がん撲滅」運動などという言葉が
ありますが、
これは叩き滅ぼすという意味です。

それくらい憎きがんを
あたかも自分の子どもであるかのように
「この子」と表現したのですから驚きです。

彼女にしてみれば、
がんも自分の細胞から生まれてきたのだから
妊娠中にお腹の中にいる
子どものような存在だと
捉えていたのかもしれません。

いずれにせよ、
そのような発想を持っていること自体、
スピリチュアルな感覚を
持っていると言えます。

それからもうひとつ驚いたのは、
そのがんが何かを伝えようとしている、
と言ったことです。

これは病にはすべて
意味があるという考え方です。

彼女のがんも、
彼女に何かに気づいて欲しいという
メッセージを伝えるための
使者だというわけです。

もしもそのメッセージに気づけたら
がんはその役割を終え消えるということは
よく言われています。

いわゆるがんの自然治癒です。

がんになることで、
食生活を見直せというメッセージだとか、
家庭を大切にしろという
メッセージだといったことに
気づく人は少なくありません。

それによって
今までの生活や行動が変わることで、
がんが消えたとかいう人もいますし、
消えるまでにはならなくても、
亡くなるまでの数年間が、
今までで最も幸せな時間だったという人は
たくさんいます。

そういう現実を見ると、
病は自分の思いや行動を変えろという
メッセンジャーであるという理解は
悪くはないと思います。

実際、彼女もがんを患うことで
最後の最後で夢を叶えたのですから。
(続く)

ブログ:スピリチュアルって?” に対して1件のコメントがあります。

  1. 遠藤玲子 より:

    スピリチュアル系の人という定義もなかなか難しいものだと思っています。何せ人の感覚や考えも日々変化して一定ではないし、ある日は無神論者であり、ある時はスピリチュアルな発言をしたりするという人も沢山居るように感じます。大切なことは、その日その時のその人の感覚や考えや気持ちを一旦受け止めた上で冷静に最も良い道を探ることかなぁと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください