ブログ:「つながり」「きっかけ」「気づき」
前回は、
心の治癒力は無意識レベルで生じる
ポジティブな心の状態だという話を
しました。
心の治癒力は無意識の力なので
意思の力でコントロールするというのは
容易なことではありません。
たいていの場合は、
何かしらの「つながり」や
「きっかけ」があって初めて
心の治癒力は発揮されます。
つまり、ポジティブな思いは
知らず知らずのうちに
出てくるものなのです。
赤ちゃんの笑顔や
満開のサクラなどを見たときなどは
思わず心が和んだりするものです。
そのような反応がまさに、
心の治癒力が発揮された結果であり、
赤きゃんやサクラとの「つながり」が
それをもたらしたと言えます。
ただし「つながり」でもたらされる
ポジティブな心の状態は
一時的であることがほとんどです。
ですから時間が経つと、
またネガティブな心の状態に
戻ってしまうのが普通です。
なぜならば、
この場合の無意識レベルは
受け身の状態なので
たとえ心の治癒力が発揮されたとしても
思いの変化にまでは至らないからです。
一方「きっかけ」は、
もう少し心の治癒力を持続させる力が
あります。
そこには無意識レベルにある思いに
ポジティブな変化をもたらす可能性が
出てくるからです。
わかりやすい例で説明しましょう。
私が大学で教えてほしいと依頼されたとき、
最初はそのつもりが全くなかったので
はっきりと断りました。
しかしその後に酒宴が設けられ、
気分がよくなった状態で、
再度、依頼されたことが「きっかけ」となり
まあいいかと思い受けることにしました。
この場合、
酒宴が「きっかけ」ということになります。
人を説得するテクニックのひとつに
食事や酒の席でするという方法があります。
私はまんまとこの罠?に引っかかり、
自分の思いを翻し、
大学で教えることを決めてしまったのです。
もちろん「きっかけ」になる事柄は
多種多様であり、
人や状況によっても異なります。
以前、こんな患者さんの例がありました。
ある胃がんの患者さんでしたが
いざ開腹手術をしてみると、
すでにがんがお腹全体に広がっていたため
何もせずそのまま閉じました。
当時の執刀医は患者さんを安心させるために
「がんは全部取れました」と説明しました。
その後、患者さんは退院しましたが、
1年経っても元気なままだったので
不思議に思った主治医がCT検査をしたところ
がんはきれいに消えていたというのです。
この場合、
手術してもらったので
がんはよくなったという
無意識レベルでの思いの変化が
がんを消滅させたと考えられます。
がんの自然治癒の例では
時々見られるパターンです。
この場合、手術したという行為が
「きっかけ」となり、
心の治癒力のスイッチが入り、
自然治癒に至ったと
言えるのではないでしょうか。
実は薬や点滴で
体調がよくなったというのも同じです。
たとえ薬や点滴に
薬効が全くなかったとしても、
プラシーボでよくなるのと同様に
それが「きっかけ」となり、
患者さんの無意識レベルで、
これでよくなるとい思いの変化が起こり、
それが症状を改善させるのです。
心の治癒力を活性化させる三つ目は
「気づき」です。
ただし「つながり」や「きっかけ」と
「気づき」は重なっているところもあるため
厳密には区別できません。
あえて言うのであれば、
心の治癒力が最も大きく発揮されるのが
「気づき」です。
気づきに伴う「あっ、そうか」とい感覚は
とてもインパクトがあることからも
それはわかると思います。
もちろんその気づきも
勘違いだったということもあるので、
絶対的なものではありません。
ただ、たくさんの「気づき」があれば、
その中のひとつくらいは
自分の思いや行動に
大きな変化をもたらすものも
あるのではないでしょうか。
例えば、医者に行ったり
薬を飲んだりしているのに
一向に体調の悪さが改善しない人が
いたとしましょう。
そんな人が尊敬する人から、
「あなたの主治医は自分の中にいる」
と言われ、
それをきっかけに自分の不規則な生活や
いい加減な食生活を見直したところ、
体調もよくなったといったことは
少なからずあります。
この場合は、
尊敬する人からの一言により
「気づき」がもたらされ、
自分のものの見方や考え方が変わり、
それが体調不良の改善に
つながったと言えます。
「気づき」とは無意識レベルの思いが
意識化された瞬間に生じるものです。
たとえ同じ言葉であったとしても
単なる知り合いに言われたのであれば
「それはそうだけど…」と思うだけで
無意識レベルに影響を及ぼすまでには
至らなかったかもしれません。
だからこそ頭では
「わかっている」と思っても、
無意識レベルには変化がないため
何も変化が起こらないのです。
このような
「つながり」や「きっかけ」、「気づき」を
いかにうまく活用するかが
心の治癒力をうまく引き出す
ポイントになるのです。