ブログ:人はみんな自意識過剰
今回も橋本之克著、
「世界は行動経済学でできている」
の内容を基に書かせてい頂きます。
人は自分が気にしていることは
他人も気にしていると思っていたり、
自分は結構、他者に影響をあたえていると
思っていたりするものです。
これがスポットライト効果です。
あたかも自分にスポットライトが当てられ、
みんなから注目されているかのような
錯覚をしてしまう心理のことです。
人は、自分は素敵な服を着たり、
髪型を変えたりすれば
誰でも気づくだろうと思うものですが、
実際はそうではありません。
もちろん親しい人であれば
その変化に気づくでしょうが、
あなたに興味のないその他大勢の人は
ほとんど気づくことなどないのです。
実際、こんな研究があります。
教室に集められた人に
あるアンケートに答えてもらいます。
その回答時間中に、
顔写真が大きくプリントされた
Tシャツを着た披験者が教室に入り、
しばらくして再び人々の前を通って
教室から出て行きます。
披験者は自分が46%の人に注目されたと
感じていたのに対して、
教室にいた人で
Tシャツの顔写真に注目した人は
全体の21%でした。
このように自分が思っているほど、
人は注目していないし、
気にもしていないのですが、
本人はそうは思わないのです。
私たちはどうも
自意識過剰の傾向にあることを
しっかりと認識する必要があるようです。
また「終わりよければすべてよし」
という言葉がありますが、
これも「ピークエンドの法則」として
正しいことが確認されています。
例えばこんな実験があります。
A、Bどちらの方が不快感が高いか?
A 大音量の不快な騒音を8秒間聞かせる
B 大音量の不快な騒音を8秒間聞かせた後、
多少ましな騒音を8秒間聞かせる
答えはAの方です。
Bはトータルで騒音を聞く時間が
Aよりも長かったにもかかわらず、です。
Bの方は、最後の8秒間の不快感が
少なかったため、
Aよりもマシな印象を持ったのです。
ですから行列のできるラーメン屋で
長い時間待たされたという不快感があっても
その後の「おいしかった!」という
満足感の方が印象に残るため、
また食べに行こうという気になるのです。
あまり面白くない話でも
最後が面白いと印象に残りますし、
上司への報告でも
悪い話のあとによい話をした方が
印象はよくなります。
このようなことからも
終わりよければすべてよしということわざは
確かに真実であることがわかります。
また、行動経済学では
「参照点」を大切にします。
参照点とは、私たちが無意識に決めた
「ある特定の基準」のことです。
たとえば、年収500万円の人が
年収600万円になれば嬉しいでしょう。
この場合の参照点は500万円です。
ところがひょんなことから
同僚の年収が700万円であることを
知ってしまったとしたらどうでしょう。
喜びはかなり
減ってしまうのはないでしょうか。
この場合の参照点は700万円だからです。
つまりどこに参照点を置くかにより
年収が高いとも低いとも感じてしまい、
これはすべて無意識のうちに設定された
参照点と比較することで
自分の状況を相対的に判断するという
心のクセがあるからです。
このクセを応用すれば
高いバッグを旦那に
おねだりすることも可能です。
例えば3万円のバッグが欲しかった場合、
「気に入ったバッグがあったんだけど
5万円くらいするの」と言いながらも、
「でも、ちょっと高いから
もう少し安いのを探してみる」と
言うのです。
その後、「3万円で欲しいバッグが
見つかったからそれでもいい?」と
確認するのです。
この場合、5万円のバッグが参照点となり
3万円のバッグが
安く感じるというわけです。
このブログでも以前書きましたが
外壁塗装の業者さん話をしたとき、
最初は300万を呈示されましたが、
その後200万と言われたので、
即刻、契約をしました。
これなども同じ原理であり、
300万円という呈示があったからこそ
200万が安く感じてしまうのです。
このようなテクニックは知っていても
やはりハマってしまうものです。
また返報性の原理も知っていても
つい反応してしまうもののひとつです。
これは、他者から何かをもらった場合、
相手に対してお返しをしようとする心理です。
お試しメイクなどは
やってもらうとその化粧品を
買わないと申し訳ない気がして
つい買ってしまうのではないでしょうか。
お土産をもらったり、
バレンタインデーで
たとえ義理チョコであっても
お返しをしないと、という気になるのは
返報性の原理が働いているからです。
このように私たちは日々日常において
このような原理に基づいて、
無意識に判断や決定をしているのです。