ブログ:「無意識」が人を誘導している

先日、とてもためになる本を見つけたので
ぜひ、紹介させてもらいたいと思います。

それは橋本之克著、
「世界は行動経済学でできている」
(アスコム)です。

今までも行動経済学の本は
たくさん読んできました。

ただそれを私たちの日常の中で、
具体的にどのように利用するのか、
たくさんの認知バイアスの
つながりや関連性などについても
書かれているので
私にはとても勉強になりました。

私たちは日頃、
自分の意思でものごとを決定し、
最適な行動を取っていると思いがちです。

しかし実際はそうではなく、
様々な仕掛けや認知バイアスにより
無意識のうちに誘導され、
判断や決定をしているのです。

例えば人は誰でも
「相手を都合よく動かしたい」と
思っているものです。

モノを売る側からすれば
できるだけ商品を買ってもらいたいと思うし
客側も知らず知らずのうちに
つい買いすぎてしまうということは
よくあります。

一番わかりやすいのは、
通販販売番組などでやっている
「通常価格14万円のところを、
今だけ9万9000円!」というパターンです。

これは最初に14万という価格を示されると、
9万9000円という値段と
無意識に比較してしまい、
安いと思ってしまうため、
つい買ってしまうという心理が働きます。

これは、
最初に見た数字で印象が操られるという
「アンカリング効果」を利用しています。

USJなどで「待ち時間120分」とか
表示されている場合、
実際には90分程度だったりすると
ラッキーという気持ちになります。

これなども120分という
少々長めの数字を最初に呈示することで、
実際には長時間待たされたにもかかわらず
お得感を持たせるという
アンカリング効果を利用しています。

また「決定麻痺」や「決断疲れ」を使い、
相手をうまく動かすことも日常では
よく使われている手法です。

人は選択肢が多いと、
どれを選んでよいかわからなくなり、
結局、選択せずに終わるというのが
「決定麻痺」です。

また、たくさんの決断をしていると
段々と疲れてしまい、
自分で考えて決断するということが
できなくなるのが「決断疲れ」です。

売る側としては
たくさんの商品を用意していても、
客が決定麻痺を起こし、
結局は買ってくれないという状況になるのは
避けたいものです。

そのために
「人気No.1」「店長おすすめ」
といった表示をすることで、
決定麻痺になることを避けているのです。

また、車を購入する際も
色やオプションの選択など、
たくさんのことを決めなくてはいけません。

客も最初は一生懸命に考えながら
決定していきますが、
1時間近くたってくると決断疲れを
起こしてきます。

その頃を見計らって、
「標準装備」を呈示すれば、
不要なものを削るという決断がしにくいため
それがそのまま
受け入れられる可能性が高くなるのです。

こうして私たちは知らず知らずのうちに
たくさんものを買わされているのです。

なお「人気No.1」や
「売れています」という表示は
「パンドワゴン効果」を利用しているとも
言えます。

バンドワゴン効果とは、
多くの人が支持しているものには
より多くの支持が集まるという
現象のことです。

行列のできるラーメン屋には
さらに人が並ぶようになるという現象は
バンドワゴン効果で説明されます。

他にも、SNSなどではよく
「売り上げランキング第1位」
「累計利用者数1000万人突破!」
「96.5%の人が継続したいと言いました」
といった文言を目にします。

これもバンドワゴン効果を利用し、
ならば自分も買おうという気になせるための
戦略なのです。

さらに、よく目にするモノは
好意度や印象度が上がるという
ザイオンス効果(単純接触効果)も
よく使われている基本的な手法です。

広告業界には
「セブンヒッツ理論」と言われる法則が
あります。

これは消費者が
ひとつのメッセージに7回接触すると
その商品やサービスに対する認知度が上がり、
購入率が高くなるという法則です。

ここには
「利用可能性ヒューリスティック」も
働きます。

これは何度も目にすることで印象に残り、
簡単に思い出しやすくなるため、
その商品の購入率が
高くなるというものです。

もちろんザイオンス効果は
人とのかかわりにも当てはまります。

初めて会ったときは何とも思わなかったのに
何度も会っているうちに
好印象をもつようになったという場合です。

営業などでちょくちょく顔見せしていると、
そのうち、
話を聞いてくれるようになるというのも
ザイオンス効果が影響しています。

もっとも、接触が多すぎると
相手をうんざりさせてしまうとか、
第一印象がよくない、
接触間隔が空きすぎると
ザイオンス効果は発揮しにくいと
言われています。

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