ブログ：女が男を誘いたいとき

本のタイトルにつられて
思わず買ってしまったのが
竹内久美子著、
「女が男を誘いたいとき」（WAC）です。

著者は有名な動物行動学研究家であり、
動物行動学の専門家です。

ですから動物行動学の視点から
人間の行動の意味を探るといったような本を
たくさん書いており、
この本もその一冊です。

ではその内容の一部を
簡単に紹介させて頂きます。

男にも女にも
「真面目型」と「浮気型」という
2種類の繁殖戦略があるといいます。

さらに女性は年齢および
パートナーとの間に
どれくらい子どもがいるかによって
浮気のしやすさが変化します。

年齢別の浮気確率は
10～20代が5％前後であるのに対し
30代は8％、40代は10％と
上昇していきます。

さらにパートナーとの間に
何人の子どもがいるかによっても
浮気の確率は変わります。

0人は5％、1人は3％に対して、
2人は10％、3人は16％、
4人以上は31％になります。

これらのデータを見てもわかるように
旦那との間の子どもの数が増え、
2人以上になると途端に
女性は浮気しやすくなるのです。

なぜ、そんなことになるのかというと、
浮気しても旦那が受け入れてくれる可能性が
高いからです。

浮気して子どもができたからといって
妻とその子を追い出してしまうと、
小さな子どもが
2人以上残されることになります。

これは男にとって大変なことなので
旦那としては妻とその子を受け入れざるを
得なくなるのです。

また男性も「真面目型」と「浮気型」がおり、
女性が「真面目型」の方が多いのに対し、
男性は「浮気型」の方が多くなります。

なぜ男性は「浮気型」が多いのでしょうか。

それは、男はしょっちゅう
セックスをするチャンスが転がっており、
それを追求しようとする傾向があるからです。

一方女性は一度妊娠すると
次に繁殖する機会は何年か後になります。

そのため、じっくりと選んだ相手と
繁殖することになるので、
男ほどには浮気のチャンスがないのです。

そのような理由から
男の方が「浮気型」が多いのです。

またツバメの浮気行動を通して、
女性の浮気行動が理解できるという話も
なかなか興味深かったです。

ツバメのメスは亭主の尾羽の長さによって
浮気の頻度を変えるという特性があります。

ツバメは一夫一妻の婚姻形態をとっており、
オスの魅力は尾羽の長さで決まり、
長いオスほどモテます。

長い尾羽のオスは早々に相手が見つかり、
尾羽の中くらいのオスは1週間くらい、
尾羽の短いオスは2週間くらいかけて
相手がようやく見つかります。

このように一夫一妻であると
メスは必ずしも尾羽の長い、
魅力的なオスとつがえるわけではなく、
たいていは妥協することになります。

ではこの不満を
どうやって解消しているのでしょうか。

それは浮気です。

メスのもとには、
いろいろな尾羽の長さのオスが
浮気のためにやってきます。

しかしメスが浮気に応じるのは
尾羽の長いオスのみです。

しかも亭主の尾羽の長さによって
行動がはっきりと異なります。

尾羽が長いオスを亭主としているメスは、
どんなオスがやってきても
浮気はしません。

尾羽の長さが普通のオスを
亭主にしているメスは、
尾羽が長いオスがやってくると
数回に1回、浮気をします。

尾羽の短いオスを亭主にしているメスは、
尾羽が長いオスがやってくると
必ず浮気をします。

これはあくまでもツバメの話ですが、
人間の場合も当てはまるのではというのが
著者の考えです。

つまり、亭主に不満のある妻は
浮気によってそれを解消する傾向に
あるのではないかと言うのです。

それを裏付ける研究もいろいろあります。

詳細は省きますが、
魅力的な女性は排卵期と非排卵期とでは、
魅力的な男性を好む程度に
差はありません。

ところが魅力的ではない女性は、
排卵期には思いっきり魅力的な男性を好み、
非排卵期にはそうではなくなるのです。

この結果から、
魅力的ではない女性は、
排卵期に魅力的な男性に強く惹かれ、
浮気をする可能性が高くなるというのです。

女性が妊娠しやすい排卵期には
魅力的な男性に惹かれるというのは、
優秀な子孫を残したいという、
生物がもっている本能的な反応なのかも
しれません。

もちろんこの考え方で
すべてが説明できるわけではありませんが、
動物行動学的な視点から男女の関係を見ると
こんなふうに理解できます。

ちなみに、これらの話はあくまでも
動物行動学の専門家である著者の考えです。
あしからず。