ブログ:悩まない人の考え方
前回紹介した書籍の著者、
木下勝寿さんの新刊本である
「悩まない人の考え方」
(ダイヤモンド社)を読みました。
タイトルの通り、悩まない人は、
出来事や仕事、他者とのかかわりにおいて
どのような考え方をしているのかについて
書かれている本です。
悩んでしまう人の多くは、
「うまくいかない」と
「思い通りにいかない」の区別が
できていません。
「うまくいかない状態」とは、
目指すゴールにたどり着けない
状態のことです。
また「思い通りにいかない状態」とは
予定していたルートでは、
ゴールにたどり着けない状態のことです。
ほとんどの悩みや問題は、
「思い通りにいっていない」だけに
過ぎません。
つまり、他の方法を考えることで
ほとんどの悩みは
解決できるということです。
ところがすぐに悩む人は、
単に「思い通りにいっていない」だけなのに
それを、もうどうしようもない、
万事休すだと錯覚してしまうために
落ち込み傷ついてしまうのです。
また、悩まない人は
問題を無理に解決しようとしません。
多くの問題はちょっと視点を変えるだけで
問題が問題ではなくなることも
少なくありません。
例えば上司の評価が低いことに
悩んでいるような人は、
上司の評価が低いことが悪いことだと
思っているのです。
ところが、自分なりに仕事を頑張り、
同僚ともうまくいっているので、
それならいいかと思えたら、
この問題は問題ではなくなるのです。
さらに問題を
「具体的な課題」に昇華させることで
問題を問題ではなくすこともできます。
ここで言う「課題」とは、
やるべきことがはっきりしている
問題のことです。
例えば、
上司の評価が上がらないという問題は、
「会社の状況や方針をつかむ」という
より具体的な課題(次の一手)に
置き換えられたら、
問題は問題ではなくなるということです。
悩まない人は
このような思考回路を持っているので
悩まないですむのです。
また悩む人は、
相手や出来事を変えようとしますが、
悩まない人はそんなことはしません。
悩みは「出来事」や「事実」からではなく
「解釈」や「感情」から生まれるのです。
ですから悩まない人は、
出来事や事実に対処するのではなく
自分の解釈や感情に対処することで、
問題解決を図っているのです。
他にもいくつか面白い視点について
紹介されています。
例えば、
「運がいい人は失敗を喜ぶクセがある」
運のよさとは「ラッキーな出来事」に
出会う確率の高さではなく、
すべての出来事をラッキーなものとして
解釈できるスキルに他ならないと
言うのです。
確かにそうだと思います。
私自身、どちらかというとこのタイプです。
私は大学受験に失敗し2浪しています。
医学部に入るのに
1浪はやむを得ないとしても、
2浪はしたくないと思っていました
しかし現実は2年目も落ちました。
私は落ちたとわかった瞬間、
すごく嬉しかったのです!
なぜならば、あと1年も勉強できたら
自分は天才になってしまうかもしれないと
思ったからです。
今思うと何ともめでたい発想ですが、
でもそのお陰かどうかわかりませんが、
2浪目の1年間はかなり精力的に
勉強ができました。
こんな私ですから、
今までの人生を振り返っても、
失敗したとか悩んだという記憶が
ほとんどないのです。
実際にはそれなりにあるのでしょうが、
どうも失敗を失敗だと思わない
ところがあるようです。
反省する心がないのか、
自分は間違っていないと
解釈するのがうまいのか、
はたまた、何があってもなんとかなると
思ってしまうからなのかわかりませんが、
とにかく、
あまりネガティブな記憶がないのです。
お陰で今まで自分がやりたいように
やってこられたと思っています。
あと面白いと思ったのは、
「知識や経験がないほどうまくいく」という
考え方です。
もちろん、
「知識や経験がある方がうまくいく」が
間違っているわけではなく、
これはこれで正しいと言えます。
しかし逆に、知識や経験があるがために、
それが先入観となり、
柔軟な発想ができずうまくいかない場合も
あるということです。
この点については私も実感しています。
私が主催する
コミュニケーションセミナーで学ぶ際、
心理の知識や経験がある人ほど
上達が遅いという印象があります。
どういうことかと言うと、
受容や傾聴を主体とした
従来のカウンセリングや
原因を見つけそれを取り除くという
一般的な心理療法を学んだ人は、
その考え方が先入観となり、
私が教えているアプローチを
学ぶさいの邪魔になってしまうのです。
従来の考え方と正反対の視点に立って
行なうアプローチを教えているので、
変なクセがついていると、
逆に新しい視点が身につきにくいのです。
一方、心理療法やカウンセリングを
全く知らない人は、
真っ白な状態の上に
新しい知識や経験が入ってくるので、
すんなりと受け入れやすいのです。
その意味で、
「知識や経験はない方がうまくいく」のです。