ブログ:読書会を開催
先日、私が主催の読書会を
初めて開催しました。
拙著「心の治癒力をうまく引き出す」を
読んでもらい、
皆さんに自由に意見や感想を
語ってもらおうというものです。
実は、この本は私の2冊目の本です。
人生最初の著書は、
私が38歳のときに書いた
「人は自分を癒やす力を持っている」
(ダイヤモンド社)です。
2年で1万冊しか?売れなかったので
そのまま絶版となってしまいましたが、
その6年後に築地書館から再版されたのが
「心の治癒力をうまく引き出す」です。
内容はほとんど変わっていませんが、
新たに第5章を付け加え、
より充実した内容になっていると
自分では思っています。
今回の読書会を開催するにあたり
私も本を読み返してみました。
読みながら、
もうこれ以上の本を書くことは
自分にはできないと思いました。
当時は若くてエネルギーがありましたし、
毎日患者さんと
じっくりかかわる機会もありました。
しかし今の私には
そのエネルギーも機会もありません。
まあ年齢的な衰えは仕方ありませんし、
心療内科の患者さんと
緩和ケアの患者さんとでは
当然、対応の仕方も異なります。
あの頃は様々な症状を持つ
十人十色の心療内科の患者さんに対して
その人にあった
心の治癒力の引き出し方を考え、
それをどのようにして
症状の軽減につなげられるかを
一人一人考えていました。
特に初診の患者さんは1時間かけて
じっくりとかかわるので
とても楽しかったですし
充実感もありました。
ただし、とても労力を使うのも事実であり、
初診の患者さんを診る前は
実は気が重くなっていました。
1時間の重労働?が始まると思うと
やはりしんどいと思ってしまうのです。
ただ、診察が始まってしまうと
その後の1時間はあっという間です。
それだけ集中して
取り組んでいたんだと思いますし、
終わった後は毎回充実感がありましたし、
次回どう変わっているかが
とても楽しみでした。
その一方で、
予約がキャンセルになったりすると、
正直ホッとしていました。
臨時の休憩時間が1時間ももらえるので
うれしいことこの上ありません。
要するに、
すごく楽しくて充実感もあった反面、
それだけ労力を使う仕事だったと
いうことです。
そんな私がしていた治療ですが、
芯となる考え方は
全く変わっていないということを
再確認しました。
治療に対する
基本となる考え方は二つだけです。
ひとつは、
その人の持っている不都合な思い込みを
いかにして緩めるかということ。
思い込みを変えるためには
リフレーミングや逆説的アプローチを
多用している気がしました。
もうひとつは、
その人が「できること」を
いかに症状の改善に
つなげるかということです。
そのためにはまず、患者さんの、
それならできるかもと思える行動を
うまく引き出したり、
提案したりするわけです。
そうすることで患者さんの、
症状に対する「こだわり」が緩み、
心の治癒力が活性化されるような
「行動」が促されるため、
自ずと症状が軽減していくのです。
こうして「成功体験」を
積み重ねていくことで、
さらなる症状の改善へとつながる
良循環を作っていくといのが
私の治療スタイルでした。
今思うと、
結構、積極的に介入をしているなと
思いました。
今は心療内科の患者さんを
診ることはありませんし、
当時と同じようなアプローチをする機会も
ほとんどありません。
また、私が主催する実践セミナーでも
当時の考え方を
そのまま教えているわけではありません。
実際セミナーでは、
その人の思い込みを直接変えるような
アプローチはあまり教えていません。
心療内科の患者さんの場合、
まず思い込みを緩める作業をしないと
変化しにくい人がたくさんいました。
一方、セミナーで
私がデモンストレーションをする相手は
身体症状ではなく、
悩み事を持っている普通の人です。
その場合は、
それならできそうと思える「小さな行動」を
うまく引き出すだけで
ある程度思い込みを
緩めることができるのです。
またデモンストレーションでは、
最後に全体のまとめをするのですが、
その際に相手の思い込みが
少し緩むような言葉を
投げかけることができるので、
それだけで十分なのかもしれません。
いずれにせよ、
今は直接的に相手の思い込みを変えるような
ことはしなくなった気がします。
あまりテクニックに
走らなくなったせいもあるかもしれませんが、
そこまでのエネルギーが
なくなってきたのかもしれません。
いずれにせよ、当時と比べて今は、
アプローチが柔らかくなった気がしました。
心の治癒力を
うまく引き出すという視点からすれば、
その分、自然体でできるようになったと
言うことができるかもしれません。