ブログ:抗がん剤への疑問

前回は、
なぜ有効性のない抗がん剤が承認され、
世に出回ってしまうのか、
その仕組みについてお話ししました。

今回は新たな視点から
抗がん剤への疑問について
お話しさせて頂きます。

有効性がないのに、
有効性があると患者さんは信じていますが、
では医者はどうでしょうか。

もちろん信じています。
ここにもメーカーのしたたかさを
垣間見ることができます。

新しい抗がん剤については
ほとんどの場合、
メーカーのMR(医薬情報担当者)から
情報をもらいます。

当然、メーカー側は、
新しい抗がん剤を
病院で採用してもらいたいので
パンフレットなどを見せながら
それがいかに有効で優れているのかを
担当医師に伝えることになります。

採用してもらうためには
メリットを最大限に説明し、
デメリットは必要最小限に、
不都合な情報は可能な限り
口にはしないというのが普通です。

またハニートラップとまでは言いませんが、
多くの場合、きれいな女性スタッフも
同行しています。

今時、医者がその女性を
口説いたりすることはないとは思いますが、
きれいな女性がいるだけで、
新薬を採用してもいいかなと思う可能性が
大いに高まるものです。

これなどはどこでも行なわれている
ごく普通の戦略だと言えましょう。

どのような過程を経ようが、
最終的に新しい抗がん剤を
採用してくれさえすれば
メーカーとしてはそれでよいのです。

ところが、前回お話ししたように
そのようにして採用された抗がん剤の6割が
有効性を認められないのです。

ではなぜ、研究段階では
それなりに有効性があるという結果が
出ているのに、
実際の現場で使用すると
有効性が認められないということが
多いのでしょうか。

実はここには、
研究における問題点があります。

以前このブログでも
4回にわたり取り上げた
「あなたが知らない科学の真実」という
本にも書いてありましたが、
抗がん剤を開発するさいの基礎研究は
再現性に乏しいことがわかっています。

再現性が乏しいということは
科学の根底を揺るがす由々しき問題です。

つまり、同じ方法で行なえば誰がやっても
同じ結果が出るというのが「再現性」ですが
再現性がないということは、
その研究結果が疑わしいということです。

ところが、がん研究について
一流の学術雑誌に掲載された53件の
基礎研究を調べた結果、
再現性を認めたのは
わずか6件(約11%)のみだったという
報告もあります。

その後、
実際に人に対して抗がん剤を投与し、
その結果を論文にまとめることになりますが、
ここでも様々な問題があります。

実際の患者さんに投与するのは
当然、医者の仕事です。

そのデータを集め、
最終的に論文にするのは
メーカー側がやることがほとんどです。

できあがった論文の筆者は、
当然、この研究に携わった教授らが
名を連ねることになります。

この際、臨床研究のデータをまとめ、
実際の論文を完成させるのは
メーカーの方ですから、
なんとか有効性があるという結論を
出すための工夫を
あの手この手を使って行ないます。

もちろん、あからさまな不正は
めったにないとは思いますが、
不正にはならないレベルの統計処理で
有効性があるように見せるという操作は
誰もがしていることです。
(詳しくはブログ参照)

こうしてできあがった論文をもとに
厚労省の審査が行なわれ、
その抗がん剤は承認されることになります。

しかし、前回のブログでも書いたように
そのような疑問だらけの抗がん剤ですので
現場で実際に患者さんに使ってみると、
6割以上の人にはほとんど有効性が
認められないという結果に
なってしまうのだろうと思います。

ここには、お金を儲けるために
何が何でも抗がん剤の承認をもらい、
できるだけ売りまくり、
最終的に不承認という結果になったとしても
それまでの間にできるだけ利益を上げ、
開発資金を回収しようとする
メーカー側の意図が透けて見えます。

もちろん、
有効性が認められる抗がん剤もあるので
すべての新薬は意味がないとは言えません。

ただし、
人の健康を守るという謳い文句とは裏腹に、
利潤追求に走る製薬企業の
こうした体質には賛同できません。

ただし、製薬会社を一方的に責めるのも
少々違う気がします。

なぜならば、今の資本主義社会で
どんどん利益を拡大していかないと
生きていけない仕組みに
なっているからです。

結局、このような社会の仕組みや構造が
諸悪の根源ということになるのですが、
社会システムを変えるというのは
そう簡単なことではありません。

私はいつもここにたどり着いて、
なんとかならないものかと
一人憤っています。

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