ブログ:久しぶりの講演②
(前回から続く)
心の治癒力には
病気や症状を改善させる力のみならず、
悩みや問題を解決する力もあります。
シニアの方々にとっての
一番の悩みはやはり健康問題です。
その中でも特に、
がんになることへの不安は
大きいようです。
もちろん、がんにならないためには
日々予防に努めることが大切です。
でも、がんと診断されてしまったら
どうしたらいいのでしょうか。
ここでは時間の関係もあり、
その話題にはあまり深入りせず、
興味の引きそうな話しだけを
断片的にしました。
その際に、さりげなく
過剰医療の問題に触れておきました。
これは結構、深刻な問題なのですが、
実際には蔑ろにされている分野です。
もっとも問題になるのが
必要以上に抗がん剤を続けることです。
ご存じのように抗がん剤は
治すための治療ではなく
あくまでも延命治療を目的とした治療です。
「この抗がん剤が効く可能性は30%です」と
言われば場合、
「1ヶ月以上にわたり、
がんが半分以下の大きさになる人が
30%いる」という意味なのですが、
医者の説明の仕方いかんで、
「30%の人はがんがよくなる」
というイメージを抱かせてしまうのです。
また患者さんも期待ばかりが大きく、
副作用で苦しんだり、
かえって寿命を短くするといった
ネガティブな側面を説明しても
そちらには目を向けようとはしません。
そのため不必要な抗がん剤を、
中にはかえって悪くなるような
抗がん剤を亡くなるギリギリまで
受けている人も少なくないのです。
さらに入院患者が少なくなってくると、
本当は入院など必要ない状態でも、
「念のため」と言って、
できるだけ入院を促すようにするのも
どこの病院でもしていることです。
このように、今の日本では
過剰医療がごく普通になっているため
その流れに巻き込まれないように
注意を促させてもらいました。
最後は「心の治癒力」の
もうひとつの働きである
「幸せや喜び、癒やし、満足感を求める力」
について話しをさせて頂きました。
誰もがそうですが、
人は不幸よりも
幸せになりたいと思うものです。
ただし、どうしたら幸せになれるのか、
どうしたら満足感が得られるのかは
人それぞれ異なります。
もちろん、何に幸せを感じるかは
人それぞれ異なります。
ですからその人にとっての幸福感が
何かをはっきりさせた上で、
それを高めることを考えたらよいのです。
もっとも人の幸福感はU字曲線を
描くことが知られています。
つまり10代の頃は幸福感が高く、
その後どんどん低下し、
40~50代が最低となり、
その後再び上昇し、
7~80代では10代後半のときよりも
高くなります。
ですから高齢者は今後どんどん
幸福感が上がってくるということです。
その意味では、
今のまま普通に生活しているだけで
高齢者の場合、
自然と幸福感は上がってくるのです。
最後の方では、
もう少し具体的な幸福感の高め方について
話しをしました。
最も一般的なものは自然との触れあいです。
緑の中を散歩するというのは
癒やし心地よさをもたらし、
幸福感を高めるよい方法です。
なおかつ一日8,000歩以上、
そのうちの20分は早歩きをすることで
あらゆる生活習慣病や認知症の発症を
減らせることが知られています。
緑の中を散歩するというのは
その意味で一石二鳥の効果があるわけです。
またお金を使い果たして死ぬというのも
人によっては重要です。
若い頃に一生懸命働き、
結構な貯蓄があったとしても、
高齢者になると使うチャンスが
なくなります。
子供や孫にお金を残すと、
何かとやっかいな問題になることが
しばしばです。
もめ事を起こさないためにも、
お金はきれいに使い切って死にましょうと、
そんな話しもしました。
その際、ものを買うのではなく
旅行や社会貢献、寄付など
価値ある体験にお金を使うことが大切です。
その方が期待感やわくわく感、
満足感や達成感を味わえるからです。
あと最も重要なのが人とのかかわりです。
高齢者になってからの人付き合いは
親密さを大切にし、
量より質を大切にするべきです。
形式的なつながりや、
煩わしいつながりはできるだけ切り、
一緒にいて楽しめる人たちだけに
絞ることが幸福感を高めるのには重要です。
女性の場合、
なら旦那と別れたいという人も
少なからずいるのですが、
ここはなかなか難しいところです。
旦那の方が先に亡くなる確率が高いので、
しばらくは我慢してそれを待つ‥
なんていう話しはしていません。
でも、
「子は巣立ち夫は旅立ち今青春」
という川柳は紹介しておきました。
結構、たくさんの笑いが取れたので
今回の講演はよかったかなと
勝手に思っています。
最後の川柳いいですね。
私の夫は3歳年下なので、夫にそう思われているかもしれません(^^;
小西さんへ。男性からそう思われることはないと思いますよ。