ブログ:パラドックス思考

人は誰でも正反対の感情を
同時に持っているものです。

例えば「安定したいけど
チャレンジもしたい」とか、
「自分のことを中心に考えたいけど、
相手の気持ちも大切にした」
といった具合です。

よく「木を見て森を見ない」と言いますが、
これなども部分と全体の対立を
言い表しています。

また、私たちはつい
「もっともっと」という感情を抱きますが、
過ぎたるは及ばざるがごとしと言うように、
「そこそこに抑えたい」という感情も
同時に抱いていることは少なくありません。

このような対立する感情が
個人の中で生じる場合もありますし、
二者間や組織の中で生じる場合もあり、
そのパターンも多種多様です。

対立する感情があると
自分自身の中でも葛藤が生じますし、
職場や組織の中でもしばしば対立の
火種になります。

ではどのようにして、
対立に対処していけばよいのでしょうか。

そのことについて
まとめられている本が
舘野泰一、安斎勇樹著、
「パラドックス思考」
(ダイヤモンド社)です。

まず最も重要なことは、
自分のなかに相矛盾する感情が
存在しているという事実に
気づくことです。

多くの人は、自分の中にある
対立する感情に気づいていません。

なぜならば、一方の感情が無意識レベルに
隠れてしまっていることが多いからです。

例えば安定志向の人にとっては
リスクを冒してまで
新たなことにチャレンジしたいとは
思いません。

しかしその一方で、
今のままではいけない、
何か新たなことをしなければ
状況がさらに
悪化してしまうという思いもあります。

しかし、そこには敢えて目を向けず、
スルーしてしまうのが普通です。

先ずは、この相矛盾する二つの感情が
存在していることをしっかりと
認識することが重要になってきます。

その上で、
「自分」と「問題」を切り離して
問題を客観的に見つめる作業が
必要になってきます。

そのような、一歩離れた視点から
自分の問題を見つめることができれば、
「安定」と「挑戦」といった
相矛盾する感情を、
主観を交えずに受け止めることが
できるのです。

では自分の中にある相矛盾する感情を
客観的に受け止めることができたら、
次に何をしたらよいのでしょうか。

それは、どちらかの感情を
犠牲にするのではなく、
両者の感情が両立するようなストーリーを
見つけるという作業が必要になってきます。

どうしたら「安定」と「挑戦」を
両立できるかを考え、
例えば、小さな「挑戦」を
繰り返すのであれば、
「安定」も維持できる、といった
アイデアが出てくるかもしれません。

また、両者を両立させるためには
時間差で交互に行うということも
可能な場合があります。

例えば、ダイエットをしたいという人は
「食べたい」と「やせたい」の
両者の感情があります。

この場合は、普段はダイエットをして
週1回は食べたいものを
食べるというのであれば、
両者の感情を満たすことができます。

実際、そのようなダイエット法も
存在しています。

また、時間やお金、他人の力を
うまく利用することで
両立が実現できる場合もあります。

例えば「仕事をちゃんと仕上げたい」と
「子供と一緒にいる時間を持ちたい」は
しばしば対立する感情です。

こんな場合、自分の仕事で
別の人に任せられるものはないか、
新たなシステムを取り入れることで
仕事の時間を短縮できないか、
予算を活用することで、
自分の時間を確保できないか、
といったことを検討してみるのです。

うまいアイデアが出てくれば、
仕事をしっかり仕上げることができ、
かつ、子供と一緒にいる時間を
確保できるようになります。

このように自分の中にある
相矛盾する感情と対峙し、
それを両立するためには
どうしたらいいかを考えるのが
「パラドックス思考」です。

いかがでしょうか。

    ブログ:パラドックス思考” に対して2件のコメントがあります。

    1. ゆか より:

      黒丸先生
      こんにちは

      今日も楽しく拝読しました。

      パラドックス思考の例えで、「仕事か育児か」という点で大いに共感しました。

      それ以降は様々な場面で、片方だけを叶えるのではなく、「両端の希望を調和させるにはどうしたらいいのか?」と考えながらやってきました。

      一方に偏ると我慢ばかりになるので、それでは育児も仕事も楽しくない、、、。
      という思いから、頭の体操しながらやってきました。

      意外と何かにぶつかったほうが新しいやり方に気付けたりします。

      パラドックス思考というのを、こちらのブログで知ることができました。

      今日もありがとうございます^^

    2. holicommu より:

      コメントありがとうございました。対立する考えに悩むことはよくありますよね。その際どう対応したらよいのか、その考え方を知っているだけでずいぶんと違ってくるものです。

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