先々週はコレステロールの誤解について
いろいろとお話をさせて頂きましたが、
今回は血圧の話をさせて頂きます。

高血圧は放っておくと
脳卒中や心筋梗塞になるから
血圧が高い人は降圧剤で
正常に下げないとダメという
思い込みがあるようですが、
これは必ずしも正しくはありません。

そもそも血圧はなぜ高くなるのでしょうか。
実のところ、ほとんどの場合
はっきりした原因はわかっていません。

もちろん、
原因がはっきりとわかる場合もあります。

例えば、腎臓病が原因で
ホルモンバランスが崩れて
血圧が上昇するとか、
血圧を上げるホルモンが
過剰に作られる病気(褐色細胞腫や
クッシング症候群)などがそれです。

しかし、これらは全体の10%程度であり、
残り90%の高血圧は
はっきりした原因がわかりません。

ただし、血管が硬くなり、
弾力性がなくなると
血圧が高くなるとは言われています。

血管が硬くなる要因としては
老化や肥満、運動不足、喫煙、喫煙など
様々なことが関係しています。

また血圧の上昇にはストレスなどによる
自律神経やホルモンの乱れや、
脱水や血液量の増加などの要因も
関与しています。

よく塩分の摂り過ぎは血圧を上げると
言われていますが、
これに関しては
何とも言えないところがあります。

というのは、塩分を取っても
血圧が上がらない「食塩非感受性」の人が
いるからです。

日本人の場合、
4割が食塩非感受性であり、
この人たちは食塩をとっても
血圧が上がることはありません。

だからと言って
塩分をどんどん取っても
よいというわけでもありません。

血圧は上昇させませんが、
心臓や血管に悪影響を及ぼし
脳卒中や総死亡率が多くなるとも
言われているからです。

ではここで高血圧の定義を
確認しておきます。

実はこれがコロコロ変わっているのです。

医学の言うことが正しいと
思い込んでいる人からすると
真実がコロコロ変わってもいいの?と
少々驚くかもしれません。

しかし、医学の考え方も
その時代において
正しいと考えられている「仮説」に過ぎず、
真実を言っているわけではないということを
知っている人であれば、
別段、驚くことでもありません。

高血圧の基準は以前に比べると
どんどん低下してきています。

1960年代の医学部では
高血圧の定義は
年齢+90以上というものであり、
年齢とともに基準値は
変動するものとされていました。

それが1978年には
160/95mmHg以上となり、
2000年からは
140/90mmHg以上と
固定されるようになりました。

さらに2019年からは
高血圧は140/90mmHg以上と
変わりませんが、
正常血圧は120/80mmHg未満と
なっています。

血圧が120~139/30 ~89mmHgの人は
正常高値血圧や高値血圧と
呼ばれるようになったのです。

正常なのか高血圧なのか
よくわからないグレーゾーンです。

このように高血圧の基準はどんどん下がり、
それに伴い高血圧患者の数はどんどん増え、
今では、その数は全国で4,000万人以上、
3人に1人が高血圧という状態に
なってしまいました。

これは何も高血圧の患者さんが
増えたという意味ではなく、
基準値が下がったことで、
今まで正常と言われていた人が
高血圧と診断されるように
なったということです。

なお、心疾患の多いアメリカでは
2017年に高血圧の基準が
130/80mmHg未満に引き下げられました。

もしかしたら数年後、
日本でも同じように高血圧の基準値が
さらに引き下げられるかもしれません。

なお、この基準は
日本高血圧学会が出しているものですが、
2014年に人間ドック学会が
150万人分のデータをもとに、
血圧は147/94mmHgを越えない場合は
正常とすると発表しました。

つまり、今までの基準より
血圧が高くても健康には何ら問題ないと
発表したのです。

これに日本高血圧学会が怒り、
一時ゴタゴタがお起こりましたが、
今は落ち着いています。

人間ドック学会の基準値は、
あくまでも健常人を対象としたものです。

つまり、肥満や病気をもっていない健常人は
そんなに神経質になる必要はないですよと
言っているわけです。

年齢に関係なく、何でもかんでも
血圧を140未満にしろというよりは
こちらの方が、
至極まともなことを言っている気がします。

ちなみに、
悪玉コレステロールと言われている
LDLコレステロールも、
120未満が正常とされていますが、
人間ドック学会では男性は178まで、
65歳以上の女性では190まで
大丈夫と言っています。
(続く)