前回は、
同じ言葉を言ったり聞いたりしても、
お互いが頭の中で描くイメージが
全く異なることが、
話がかみ合わない原因になる
という話をしました。

今回はその正反対で、
抱くイメージが違うことを
うまく利用することで、
「この人は私のことを全部
わかっている!」と思わせることが
できるという話です。

例えば、朝のテレビ番組の中には、
星占いでその日の運勢が
わかるというものがあります。

うお座の人は、
人間関係のトラブルに
気をつけましょうとか、
いて座の人の金運に恵まれそうです、
といった類の話です。

この場合、人間関係と言われても、
職場や同僚との人間関係なのか、
親兄弟との人間関係なのか、
それとも、夫婦関係のことなのか
一切具体的なことを言っていません。

ですから、
人間関係といった言葉を聞いたとき
人それぞれ思い描くものは異なります。

また、トラブルと言っても
ちょっとカチンときたことから、
決別するほどの大げんかまでピンキリです。

また、
人間関係のトラブルという括りで
言えるようなもめごとなど、
ごく普通にあります。

通勤電車の中で起ころうが、
職場や家庭で起ころうが、
他人がかかわる不快なことであれば、
どれも人間関係のトラブルと
受けとめることができます。

そう考えると、一日を振り返り
「人間関係のトラブル」があったと
思える人はかなりいると思います。

その人たちが、もしうお座だったら、
朝のテレビ番組の星占いは
「当たった」ことになります。

逆に、そのようなトラブルがなかった場合、
「朝の星占いは当たらなかった!」などと
怒る人はいません。

ほとんどの人は、
星占いがあったことすら
忘れているのが普通です。

中には、本当は人間関係のトラブルに
発展していたかもしれなかったが、
「気をつけていた」おかげで、
そのようなことが回避でき、
トラブルなく過ごせたと
考える人もいるかもしれません。

このように、人は自分にとって
都合にいいように解釈するクセがあり、
それをうまく利用しているのが占いです。

ただし、今の場合は
不特定多数の視聴者を対象としているので、
その中には確実に当たったという人と
明らかに外れたという人が出てきます。

一方で、個人の占いの場合は
もう少し上手にやる必要があります。

例えば、
「最近、身内でトラブルが
ありませんでしたか?」
と占い師がたずねたとしましょう。

当然、身内のトラブルがあれば
ドンピシャで「大当たり」です。

また、そのトラブルが
1年前のことであっても、
「そのわだかまりが
今も少し尾を引いています」
などと言ってしまうと、
「そうですよね」と返され、
これも「当たり」となります。

さらに、「トラブル」という言葉に引かれ、
身内というか、友人と少しトラブルになって‥
なんて答えてしまったら、
「そのトラブルです!」などと返され、
これまた「当たり」になります。

そうなると、このお客さんは、
この占い師が
1年前にあった友人とのトラブルを
引きずっていることを言い当てたと、
誤解?してくれる可能性が
大いにあるのです。

個人の場合、このように
相手の反応にうまく合わせることで、
あたかも当たったかのように
思わせることは十分に可能です。

以前、自称占い師の人から飲み会の席で
「先生の血液型はA型ではないですか?」
とたずねられたことがありした。

私は「いいえ」と答えると
すかさず「O型ですか?」と
さらにたずねてきまいた。

その後、「いいえ」
「ではAB型ですか」
「いいえ」
「B型ですか」
「はい、そうです」
とやり取りは流れていきました。

そのあとの彼女の言葉が衝撃でした。
「やっぱりB型でしたか!」

占い師って、
あたかも当たったかのような反応を
何のためらいもなく堂々と返すんだなと、
感心してしまいました。

もちろん心の中では、
「全部の血液型を言ったら
そりゃ~当たるでしょ」と
突っ込みを入れていましたが。

当然、上手な占い師は、
こんなへぼなことはしません。

過去や未来を言い当てたり、
その人しか知らない事実や
初恋の人の名前を言い当てたりします。

正確に言うと、言い当てたかのように
錯覚させるのです。

このようなテクニックをうまく使えば、
相談者はその占い師を絶対的に信じますし、
人によっては予知や霊視ができると
思ってしまう人もいるかもしれません。

このように、
ことばのイメージの曖昧さをうまく利用し、
相手の反応や返答をうまく取り込みながら
話を進めていくことで、
あたかもすべてが
わかっているかのような錯覚を
させることができてしまうのです。