西剛志著、
「なぜ、あなたの思っていることは
なかなか相手に伝わらないのか?」
(アスコム)から、
脳バイアスのお話を
引き続きさせて頂きます。

私たちの脳バイアスは、
環境からの影響も受けやすく、
それにより思いや感情は
容易に変わってしまうことが
知られています。

例えば、ホットコーヒーを持っているだけで、
相手の人に「やさしい」「おだやか」
「親切」だという印象を持つようになり、
人に優しくなれます。

逆にアイスコーヒーを持った場合は、
相手に対して
「やさしくない」「利己的」という印象を
持つようになります。

さらに、柔らかいソファに座っている方が、
硬い椅子に座っているときよりも
優しい人に見えます。

実際、やわらかいソファに座った方が、
硬い椅子に座って交渉するよりも、
交渉相手を安定的な人と感じ、
交渉がより柔軟になることが
知られています。

このように、
体が受ける温度や硬さなどの
感覚の違いにより
脳は、相手に対する印象を
違ったものに変えてしまうのです。

ですから、喧嘩ばかりしている夫婦の場合、
ソファに座り、
温かいコーヒーを一緒に飲みながら
話をするというのはよい方法になります。
私もやってみます!

さらに、晴れた日は曇りの日よりも
気分がよくなるため、
アンケート調査に協力する人が増えるとか、
うつ症状が軽減する傾向にあります。

他にも、緑が見える病室の患者さんは
そうでない患者さんよりも治りが早いとか
オフィスに観葉植物などの緑を置くと、
男性は想像力が15%上がり、
女性は問題解決に対する柔軟性が高まるなど、
環境が脳に与える影響の研究は
数多く存在しています。

また「時間」に対する感覚も
脳バイアスが関係しています。

年を取るほどに、
時間の流れが
速く感じられるようになったという経験は
多くの人が経験していると思います。

それは、
人は時間の経過に
注意が向けられる頻度が高い程、
時間を長く感じるからです。

だから夢中になっているときは
時間はあっという間に過ぎ、
つまらない会議などは、
時間が長く感じるのです。

また、新しい体験をする回数が多い程、
たくさんの時間を費やしたと感じるため、
時間が長く感じられます。

そのため、
いろいろと新しい仕事をこなしている人は、
時間を長く感じ、
ルーチンワークばかりで、
毎日同じ生活をしている人は、
時間が過ぎるのが早く感じるのです。

また、多くの人は午前中よりも
午後の方が時間を長く感じます。

それは午前中の方が脳の代謝が高く、
脳細胞の活動が活発になるので
多くのことが記憶に刻まれるため、
代謝が落ちる午後よりも
時間を長く感じるのです。

子供の頃は、1か月の夏休みが
長く感じられると言われますが、
それは、大人よりも
代謝が活発だからだと考えられます。

私たちの思いや行動は
95%が無意識によって決められていますが、
その無意識は、
環境から影響を大きく受けているのです。

私も以前は、
患者さんの心にアプローチする場合、
思いや感情、行動にアプローチすることばかりを
考えていました。

しかし今は、
環境をうまく使うことも
とても重要だと思うようになりました。

今まで述べてきたように、
私たちの脳には様々なバイアスがあります。

そのため、人は同じものを見たり
同じことを聞いたりしても、
全く違った捉え方をし、
全く異なったイメージを持つのです。

同じ「前髪を短く切ってください」でも、
人によって「短く」のとらえ方が異なるため、
自分の思い通りにはならないことが
しばしばあるということです。

ですから、
お互いがわかり合うためには、
お互いの感じ方や受け取り方が
違うという事実を
先ずは認めることが大切だということです。

自分の考え方を変えるのは困難ですが、
お互いが異なる考え方や感じ方を
するという事実を受け入れることは
十分に可能です。

それが、相手を理解するための
第一歩になるのです。