前回に続き、堀田秀吾著、
『「考ええすぎない」人の考え方』
(サンクチュアリ出版)の中から、
面白いと思った研究を紹介させて頂きます。

ミシガン州立大学のモーザーらは
「前向きに考えようとするとドツボにはまる」
という研究を発表しています。

一般的にネガティブに考えるよりも
ポジティブに考える方がよいと
言われていますが、
実は、ネガティブな人には
前向きなことを言うと
逆効果になるという研究発表です。

どのような実験をしたかというと
先ず参加者に自分が
「ポジティブ思考」か「ネガティブ思考」か、
自己申告してもらいます。

そのうえで
「男が女性の喉にナイフを
突きつけている」などの
ショッキングな映像を見せますが、
それらをできるだけ
ポジティブ(楽観的)に解釈するように
指示します。

このときの参加者の脳の血流反応を調べると
ポジティブ思考だと
自己申告した人たちの血流には
特に大きな変化はありませんでした。

ところが、ネガティブ思考の人たちの血流は
大きく反応し、非常に早くなりました。

これは脳が高速回転し、
パニック状態になっていることを
意味します。

この結果を受け、
血流が早くなった人たちに
「もっと前向きに考えて!」と
指示します。

すると、逆に血流の流れは
より早くなってしまったのです。

これは、ネガティブな情報を
ポジティブにとらえようとすることで
自己矛盾を引き起こし、
かえって自分のネガティブさに
気づかされてしまい、
オーバーヒートしてしまった状態です。

このことから、
ネガティブな状態のときには
それを無理に変えようとしてはいけないことが
わかります。

ネガティブな状態を
変えようとするのではなく、
ただ、「今、ネガティブな状態だなあ~」と
認識するだけでよいのです。

その際、「彼は今、ネガティブな状態だ」
というように、
客観的に自分を眺めることで、
ずいぶんと気持ちは楽になります。

私も以前から、
何とかしようとする思いが、
より一層状況を
悪化させると考えていたので、
「変えようとしてはいけない、
変わるのを待てばいい」
「今のままでOK」
「『まあ、いいか』が大切」などと、
よく言っていました。

森田療法やACT(アクト)でも
「あるがまま」という言葉で
同じことを言っています。

ネガティブな思いや感情を
無理に変えようとすると
かえって状況を悪化させるということが、
このような科学的研究からも
示されたことは嬉しい限りです。

最後にもう一つだけ
面白い研究を紹介します。
「なぜ、女子は出かけるのに
時間がかかるのか?」

これは長崎大学の土居らの研究報告です。

これは、若い女性を対象に
①「自分の顔」
②「コンピューターで人工的に
美しくした顔」
③「コンピューターで人工的に
醜くした顔」を見せ、
その時の脳の様子を
モリタリングするという研究です。

この結果、醜くした顔を見せたときは、
「こんな顔はイヤ!」「こんなはずない!」
といったストレス反応を
参加者たちは示しました。

この研究では、
女性がもっともストレスを感じるのは、
自分の思う顔に
なっていないときだというのです。

女性がメイクするのも、
きれいになりたいというよりも
自分が思っているより醜いのはイヤ、
という欲求の方が強いのではと
この研究者らは伝えています。

また、服装には「なりきり効果」が
あることが知られています。

つまり、仕事の制服やスーツを着ると
気が引き締まったり、
かっこいい、かわいいと感じる服を着ると
セルフモチベーションが
高まったりする効果があります。

いずれにせよ、身なりを整えることで
気持ちや行動がポジティブになるのは
確かなようです。

私は普段、ほとんど身なりは気にせず、
いつも同じような服ばかり着ていますが、
数年に1度くらいはスーツを着る
(着ざるを得ない)機会があります。

そんなときは、
確かに気持ちが引き締まる思いがします。

もっとも、ほとんどの場合は
普段着で過ごしています。
その方が、気持ちが楽ですから。

ですから、
教授の退官記念パーティーが
京都のホテルで開催された際も
セーター姿で参加しました。

ところが、参加している男性陣は
みんなスーツを着ているではないですか!

私だけがセーターというのは、
さすがに周囲からの
「場違い」感の視線をひしひしと感じ、
気楽な格好をしていたにもかかわらず、
全く気楽な気分にはなれませんでした。

気楽な格好もいいですが、
やはり場所や状況を考え、
服もそれなりに変えるべきだということを
私はこのときに学びました(少々遅すぎ??)。