久しぶりに
「木を見る西洋人、森を見る東洋人」
(リチャード・E・ニスベット著、ダイヤモンド社)
を読み返しました。
やっぱりこの本は名著ですね。

ここで書かれていることは
よくセミナーでも話をしますし、
そのテキストに載せている
推薦図書50冊の中にも入れています。

この本には、
西洋人と東アジア(日本や中国など)の人とでは、
ものの見方や見え方が違うということが、
様々な実験や研究をもとに書かれています。

同じものを見たり聞いたりしても、
アメリカ人と日本人とでは、
基本的な考え方が違うため、
同じには見えないということです。

例えば、
a)個人の独創性が奨励され、それを発揮できる仕事
b)特定の個人に特権が与えられることなく、
全員で一緒に働くことができる仕事

あなたならどちらの仕事がしたいですか?
この質問を様々な国民にすると、
アメリカ、カナダ、イギリスなどの回答者の
90%以上はa)を選択しました。

一方、日本、シンガポールの回答者で
a)を選んだのは50%以下であり、
ベルギー、イタリア、フランスは
両者の中間であったというのです。

なぜこのような違いが出てくるかというと、
西洋人は個人活動の自由にこだわり、
また一人ひとりの個性を大切にします。

一方、東洋人は集団の中で
調和をもってつながっていることを
よしと考える傾向があります。

もちろんすべての西洋人、東洋人に
このことが当てはまるわけではありませんが、
ある程度の傾向が見られるのは確かです。

そう言えば、アメリカの学校などでは、
授業のときに生徒はよく手をあげ、
積極的に自分の意見を述べたり
質問をしたりします。

これは自分を主張することはよいことだという
価値観が背景にあるからだと思われます。

逆に日本人の場合はほとんど手を上げません。
これは、こんなことを言ったり質問したりしたら
周りから何て思われるだろうという思いが
先立ってしまうために
自発的に手を上げられないのではと思われます。

この点に関して、
積極的とか消極的という
性格からの見方もできるでしょうが、
個性を大切にするか調和を大切にするかという
価値観の視点から見ると、
また違った側面が見えて面白いです。

またこんな質問もありました。
15年間にわたって
優秀な成績をおさめていた従業員が
ある年、病気をしてしまい、
十分な成果をあげることができず、
今後も成績が向上する見込みがありません。

さて、この場合、
あなたの考えはどちらに近いですか?

a)年齢やこれまでの業績がどうであれ、
水準以下の業績しかあげられないのであれば
その従業員は解雇されるべきである
b)その従業員のそれまでの15年間の働きを
無視するべきではない。
会社には彼の人生について考慮する責任がある

皆さんはいかがでしょうか?
アメリカ人やカナダ人の75%以上がa)を選び、
会社を去るべきだと考えていました。
一方、日本人でa)と答えたのは30%でした。

これなども西洋人と東洋人の価値観の違いを
如実の表しているのではないでしょうか。

つまり、西洋人は行動を決めるためのルールは
普遍的でなければならず、
特別なケースに配慮して原則を曲げるのは
モラルに反すると感じているのです。

一方、東洋人は、
状況に応じた特別な配慮はあってもよいと考え、
逆にルールに固執して融通がきかないのは、
冷たい態度だと映るのです。

このように、西洋人は個性に価値を置き、
ルールに基づいた平等を好み、
公正であるためには
調和を犠牲にすることもいといません。

それに対して東洋人は、調和に価値を置き、
上下関係や集団管理を受け入れます。

また、成功や達成は西洋人にとっては、
個人的な利益をもたらすものですが、
東洋人にとっては
所属集団に名誉をもたらすものと考えます。

ですから西洋人の場合は
会社や組織で働くのは、
自分の収入やキャリアアップのためであり、
東洋人の場合は
会社のために一生けん命に尽くすためだと言われ、
これもなるほどと思いました。

もちろん、これらの価値観の違いは、
どちらが良いとか
悪いとかいう問題ではありません。

あくまでも西洋人と東洋人の
ものの見方や根底にある価値観の違いを
述べているにすぎず、
決して評価をしているわけではありません。

他にも西洋人と東洋人の価値観の違いは
たくさんありますが、
それについては次回紹介させていただきます。