ブログ:「心の治癒力」物語⑨~まとめと展望

この一か月間、「心の治癒力」物語について
書いてきましたが、
今回が最終回です。

こうして振り返ってみると、
私の人生は、
「心の治癒力」とともにあったと言っても
過言ではないと思いました。

高校時代から興味を持ち始めた
自然治癒力や心身相関という考え方は、
心療内科医として治療経験を積むことで
「心の治癒力」という形に結集したと言えます。

心療内科時代は、
心の力が症状や病気を治すという意味で
「心の治癒力」という言葉を使っていました。

その後、ホリスティックコミュニケーション
実践セミナーを開催するようになってからは、
悩みや問題を解決したり
困難を乗り越えたりする力なども含めた
広い意味で「心の治癒力」という言葉を
使うようになっていきました。

ただ、その根底には、
医者やセラピストが何かをすることで
症状が改善したり
問題が解決したりするのではないという
考え方が常にあった気がします。

自然治癒力が自ずと機能するように
「心の治癒力」も自らの力で
動き始めると考えていたのです。

ただし心の働きは複雑です。
建前と本音が違うように、
意識していることと無意識とは
正反対であることがしばしばです。

さらに厄介なことは、
その事実に気づいていない人が
ほとんどだということです。

例えば意識レベルでは、
差別反対と思っていても
無意識はしばしば人を差別しています。

映画「招かれざる客」にも描かれているように、
白人である自分の娘が、
黒人の彼氏を連れてきたならば、
差別反対を主張してきた親でも
戸惑ってしまうものです。

でもこれが現実なのです。
人はこのように、意識と無意識とでは、
思っていることが違うため、
自分の「心の治癒力」を
十分に発揮させるためには、
意識レベルにある理論理屈だけで
なんとかしようと思ってもうまくいきません。

どうしても無意識レベルへの働きかけが
必要になってくるのです。

また、医者やセラピスト、療法家として
患者さんやクライエントに
関わろうとする場合には、
「心の治癒力」を最大限に引き出すための
様々な工夫も必要になってきます。

その際、基本として大切になるのが、
相手に対して、どのようにして
安心感や信頼感、期待感をもってもらえるような
かかわりができるのかということです。

これが「心の治癒力」をうまく引き出す
基本となります。

あとは悩みや問題を抱えている人から
どのようにして希望や可能性を見つけ出し、
それを広げていくかがポイントになります。

さらに、「心の治癒力」に
大きな影響を及ぼすものとして
忘れてはならないものが環境要因です。

「心の治癒力」が十分に機能するためには
様々な「つながり」や「きっかけ」が
重要になってくるのです。

これらの詳細はここでは述べませんが、
過去のブログや拙著に詳しく書いているので、
興味のある方はそちらを参照してください。

さて、今後の展望ですが、
今は二つのことを念頭に置いています。

ひとつは「コミュニケーション医学」という概念を
医療関係者の人に広げていきたいということ、
もう一つは、生活習慣病の指導をすることです。

私はコミュニケーションのあり方いかんにより、
治療効果に違いが出てくると思っています。
もちろん、そこには「心の治癒力」が
関与していることは言うまでもありません。

ですから、
「心の治癒力」の存在はもちろんのこと、
コミュニケーションが治療において、
薬に勝るとも劣らず重要であることを
一人でも多くの医療関係者に
知ってもらいたいのです。

それが、西洋医学であろうと
代替医療であろうと、
患者さんの治療にはとても重要だと
考えているからです。

それから生活習慣病の指導ですが、
これも「心の治癒力」の視点なくしては
うまくいかないもののひとつです。

なぜならば、運動や食事を中心とする
生活習慣病の指導は、
頭ではわかっていても実行できず、
また実行できても
なかなか続かないというのが現実だからです。

そこには、いかにして上手にやる気を引き出し、
環境要因をうまく取り入れながら、
習慣行動を作っていくかがポイントになります。

当然そのための様々な知識や工夫が必要であり、
それらを駆使して患者さんの指導に当たることで、
ある程度、成果を上げることができるのではと
考えています。

生活習慣病の指導は初めてのことなので、
しばらくは試行錯誤の状況が続くと思いまが、
今まで私が培ってきたものをすべてつぎ込み、
何とか形にしたいと思っています。

そんなことを昨年から考えており、
今年はそれを実行に移すつもりでした。

ところが、今年の2月29日に
東京で開催予定であった
第一回コミュニケーション医学研究会は
新型コロナウイルスの影響で
中止となってしまいました。

また生活習慣病の指導も今年の5月から
実際に始めることになっていました。

ネーミングも、
「なぜか意欲が出てくる〈こもれび〉相談室」
に決め、チラシも作成し、
準備をしていたのですが、
こちらも新型コロナウイルスの影響で、
延期になってしまいました。

でもコロナ騒動も少し落ち着いてきたので、
コミュニケーション医学の活動と
生活習慣病の指導は、
頃合いを見て再開したいと思っています。

これからもセミナーや講演などを通して、
「心の治癒力」の大切さを
伝えていきたいと思っています。

一か月の間、「心の治癒力」物語に
お付き合いいただきありがとうございました。

    ブログ:「心の治癒力」物語⑨~まとめと展望” に対して2件のコメントがあります。

    1. 伊藤かよこ より:

      「心の治癒力」物語、ありがとうございました。
      毎回楽しみに読ませていただきました。

      医療者も患者さんも両方が「心の治癒力」について知り、
      うまく活用できるといいですよね。

      単に病気や症状の改善以上のもの(生きやすさや幸福感)が得られますから。

      わたしも「心の治癒力」についてもっと情報発信していこうと思いました。
      ありがとうございます。

    2. holicommu より:

      伊藤さんへ コメントありがとうございました。コミュニケーション医学研究会も、ぜひまたさせて頂きたいと思いますので、その時はよろしくお願い申し上げます。

    伊藤かよこ へ返信する

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