ブログ:Zoomの違和感

新型コロナウイルスの影響で、
人が集まるセミナーや会議がやりにくくなり、
そのため、世間ではZoomを利用する機会が
格段に増えてきました。

もっとも、リアル派の私は正直言って
Zoomを通して人とつながるのは
あまり好きではありません。

しかし、この状況がいつまで続くかわからない中、
いつまでもリアルにこだわっていても
どうにもならないと思い、
最近ようやく重い腰をあげ、
Zoomデビューを果たしました。

何事もそうですが、一度やってしまえば、
ハードルがぐっと低くなるので、
それからはさほど抵抗なく
できるようになりました。

確かにZoomを使った方が便利ですし、
会場費も交通費も基本的にかかりません。
準備の手間もリアルなものよりも
格段少なくすみます。

ただ、何回かやってみたものの、
やはり私の中にある違和感を
拭い去ることができません。

私が感じる最も大きな違和感とは、
「つながり」感のなさです。

人は、周囲に影響を及ぼすと同時に、
まわりからも影響を受けています。
つまり、相互作用がもたらす
無意識レベルでの情報交換により
自分の思考や感情、行動は
作り上げられているのです。

実際のセミナーでは、
まさにそのような相互作用の中で
全体が形作られていきます。
そのダイナミクスが
セミナーの醍醐味でもあるのです。

ところがZoomでは、
それが全く感じられないのです。

Zoomで誰かと話をしていても、
コミュニケーションという意味では
全く問題はありません。

しかし、誰かに冗談を言ったり
笑いを取るような話をしても、
どうも反応が鈍いのです。

セミナー会場であれば、
つまらない冗談を言っても、
笑う人が数人はいます。

そのちょっとした笑いが、
会場全体の雰囲気をやわらげてくれるのです。
もちろん、その反応を見て
私もさらなる言葉をつなぐといった具合です。

つまり一堂に会してやる場合は、
一人が笑うと、それをみんなが見て、
全体が和むという連鎖が起こります。
ちょっとした変化が全体に伝播するのです。

ところがZoomの場合、
参加者全員の顔が見えているにもかかわらず、
その伝播が起こりにくいのです。

誰かが笑ったとしても、
全体としての直接的なつながりがないため、
断片的な笑いで終わってしまうのです。

それで流れが途切れてしまうため、
私もその次の反応が出てこず、
とてもやりにくさを感じるのです。

これは音楽をコンサート会場で聴くのと、
CDやDVDで聴くのとの違いに似ています。

音楽そのものはCDやDVDでも十分に楽しめます。
ただ、実際のコンサートとは
雲泥の差があります。
まさに、その差こそが「つながり」感です。

人は、音楽そのものを楽しむと同時に、
歌手や演奏家、そして舞台全体を視覚的にとらえ、
また、コンサートホールの雰囲気や響き、
観客の反応などを感じ取りながら、
これらすべてをセットとして
音楽を楽しんでいるのです。
ここには「つながり」感があります。

しかし、音楽と一部の映像だけを切り取った
CDやDVDでは、それがないのです。
そのため「つながり」感によって生み出される
高揚感や一体感、臨場感を
伝えることができません。

Zoomを体験して、
私はこれと同じような感覚を
持ってしまうのです。

実際のセミナーでは
当然「つながり」感があるのですが、
それがないと、こんなにもコミュニケーションが
取りにくいものかと改めて実感した次第です。

ただ、これからはZoomセミナーも
やる必要が出てくると思います。
そうであれば、
そんなことばかりも言っていられません。

この違和感が少しでも和らげられるように、
あれこれと工夫をする必要があるんだろうなと、
このブログを書きながら思っています。

    ブログ:Zoomの違和感” に対して3件のコメントがあります。

    1. 黒丸先生
      私もリアルでしか伝わらない空気感。
      直接感じないけれど、感じる人肌や吐息。
      同じ釜の飯を食う的な、同じ空気と時を感じる一体感
      それを大事にしてきました。
      オンラインを取り入れざるを得ない世の中になり
      少しでもリアルに近づく何かを模索するところです。
      是非、続きをお聞かせいただきたいです。

    2. 山田 勝久 より:

      私も先日、Zoomデビューしました。

      参加者の皆さんの顔が見られるのは嬉しかったですが、いっぽうで、画面設定によっては自分の行動や態度が、メタ視点、他者視点で認識させられるのがプレッシャーでもありました。

      他の方がきちんと前を向き、しかもこちらを見ている(映像上そう見える)ので、自分だけぼんやりとよそ見するわけにはいかないなぁ・・・と。
      自分の顔も映る状態では、余計にそう思えました(イライラした時、鏡で客観的な自分の様子を見て冷静さを取り戻すテクニックがありますが、それがマイナスに働く感じです)。

      私みたいな人ばかりではないと思いますが、Zoom空間では空気感や間などのノンバーバルな情報が乏しいいっぽうで、視覚的には自分も含めて参加者の様子が一括で見えてしまう(逸脱していると目立つ)というバランス加減が、参加者の反応を縛りやすいのかも、と思いました。

    3. holicommu より:

      山田さんへ、コメントありがとうございました。ホストと参加者とでは立場が違うので、印象もかわりますね。

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