私たちは物事を判断する場合、
今までに積み上げられた知識と経験、
それに、日々入ってくる情報をもとに
どうすべきかを決めています。

その際に、大きな影響を与えるのが
自分の感情に強く訴えるような情報や
インパクトのある出来事です。

新型コロナウイルス(以下CV)関連で言えば、
志村けんがCVに感染して
亡くなったという報道などは
まさにそれです。

あんな有名な人が、
CV感染により、いとも簡単に
亡くなってしまうという現実を目の当たりにし、
私たちは大きな衝撃を受けました。

このようなインパクトのある報道は、
人々の感情を大きく揺さぶることになります。

すると、CVに対する恐怖心が一気に高まり、
CV感染=死というイメージが、
いやが上にも強まります。

これと同じ現象は、
飛行機事故で多くの人が亡くなるという報道でも
見られます。

飛行機事故により
一瞬にして多くの命が奪われる悲惨さは
人々の不安感や恐怖心を煽り立て、
飛行機=危険な乗り物というイメージを
作ってしまうのです。

当然、その思いは
人々の行動にも影響を及ぼします。
実際、飛行機事故の報道があった後は、
飛行機に乗る人が一時的に少なくなることからも
そのことはわかります。

もっとも、志村けんが亡くなったという報道は、
いたずらにCV感染の恐怖心を煽るだけではなく、
国民にその危険性を認識してもらうという意味では
よい方向に機能していると思われます。

日本では200人以上の人が亡くなり、
アメリカでは死者が4万人にのぼっている
という報道に触れても、
「あ~そうか」「怖いなあ~」で
すんでしまう人は少なくありません。

しかし、志村けんが一人亡くなったというだけで、
人々は驚き、悲しみ、ショックを受けました。

それと同時に、
CV感染の危険性は他人事ではないと実感し、
不要不急の外出や
3密を避けるという行動を促すことに、
少なからず影響を与えていると思われます。

ただ、その一方で
極端な方向に意識が向きすぎてしまい、
かえってリスクを
高めてしまうという側面があることも
忘れてはいけません。

現在、日本でCVに感染した人は
1万人を超えました。
また死者も200人を超えました。

潜在的な感染者は、この何倍もいるでしょうし、
亡くなる人も今後増えてくると思われます。
さらに、医療崩壊という事態になると、
死者の数は急増することが予想されます。

ただし、今の状況で判断する限り、
CVに感染する可能性は
地域差はありますが、
平均すると1万人に1人、
つまり0.01%であり、
亡くなる可能性は0.00017%です。

肺炎で亡くなる人は約12万人おり、
こちらの死亡率は0.1%です。
そう考えると、今の日本においては
CV感染で亡くなる人は、
通常の肺炎で亡くなる人に比べると
600分の1ということになります。

つまり、年齢や基礎疾患の有無にもよりますが、
CVに感染して死んでしまうということを、
あまり深刻に考えすぎる必要は
ないということです。

もちろん、だからと言って、
不要不急の外出や3密を避けることに
さほど意識する必要はないという
意味ではありません。

当然、これ以上感染が広がることを
避けるという意識をもって
行動していかなければなりません。

要するに、CV感染を必要以上に心配し、
それがストレスとなり、
かえって体調を悪くするようなことがないよう、
また、あまりにも楽天的に考えすぎて
感染拡大を助長するような行動を
安易にとるようなことがないよう、
現実を冷静に見つつ、
日々の行動をしましょうということです。

人が判断を下す場合、
感情に流された判断と、
客観的な視点からの判断の
両者の影響を受けることになります。

せめて、
人はそのような判断をしてしまう
生き物なんだということだけでも、
「客観的」な視点をもって認識したいものです。